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中国のための言い訳

Posted December. 29, 2017 09:57,   

Updated December. 29, 2017 11:16

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文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日、中国を国賓訪問した際に行った北京大学での演説で、「韓国の若者たちはマトンの串焼きと青島(ビール)が好きだ」と言って拍手喝采を受けた。両国間の文化交流を強調することで、中国の若者たちの心を得ようとする狙いであることが分からないわけではないが、マトンの串焼きは韓国ではいざしらず、肝心の中国の路上ではなかなか目にできないことは知らなかっただろう。粒子状物質の主犯の一つという理由で当局が厳しく取り締まりをしているからだ。

中国政府は今年から、北京、天津、河北省とその周辺地域など、28都市の300万世帯に対して石炭暖房を禁止した。禁止するという意味は、各家庭と施設の石炭ボイラーを撤去したということである。石炭の代わりに天然ガスを使えということだが、ガスの供給が円滑でない貧しい住民たちは暖房もできず、厳しい寒さにさらされている。大気汚染の改善が目標なら、人権など全く無視する共産主義国らしいアプローチである。

中国は隣国を配慮するためではなく、自分たちが生きるために過酷な政策を実施している。韓国がこうだったなら、ろうそく程度ではなく、暴動が起きただろうが、とにかく効果はあって、毒ガス室を連想させるという評判を受けてきた中国スモッグが改善の兆しを見せているという。環境部は、中国から粒子状物質が飛んできたのは確かだが、クリスマス頃に首都圏粒子状物質の濃度が高かったのは、「高湿度と長い大気の渋滞時間のためだ」と分析した。中国に八つ当たりをしていた人々は、中国発粒子状物質が「グレークリスマス」の原因ではないというニュースに鼻白んだだろう。

粒子状物質は、原子力ほど複雑な領域なので、普通の人が理解するのは容易でない側面がある。幸いなことは、文大統領が歴代大統領の中では粒子状物質に最も関心が高いことである。文大統領は就任から五日後だった5月15日、小学校を訪れていわば「第3号の業務指示」として、老朽化した石炭火力発電所8基の運転停止を宣言した。また、子供たちが粒子状物質を心配せず、安心して遊べるようにすると言って、学校に粒子状物質測定機の設置を約束した。

しかし、関心があるということと政策が正しいということとは違う。今年6月の老朽化した火力発電の運転中止は気持ちをすっきりさせるようなニュースだったが、稼働中止から1カ月後に行われた政府発表でも、粒子状物質の削減効果は微々たるものだった。「粒子状物質を無くすべきであり、なぜ測定するのか」という批判に、粒子状物質測定器設置の件はなかったことになった。政府のアマチュアリズムに一例を加えた形となった。

実は「粒子状物質30%削減」の公約に、多くの専門家が苦笑した。30%削減は大韓民国の経済活動を停止しない限り、達成が困難な数値であるからだ。「任期中3%」だけ削減しても、大統領の業績になるほど、粒子状物質の削減は難しいことである。老朽化した火力発電を数基無くすことでは足りず、必要なら炭火焼き飲食店の営業を停止させることになるかもしれない。炭火で焼くマトンの串焼きが粒子状物質を噴き出すように、サバを焼く時も、粒子状物質が出るのは事実だ。

大統領が粒子状物質を大統領アジェンダとして扱うために、真っ先にすべきことは最高の専門家を探すことだ。金恩京(キム・ウンギョン)環境部長官は粒子状物質の専門家ではないだろか。日本が人口問題の解決のために、1億総活躍相を任命したように、我々もそのようなポストが必要である。ゴーストを取るためには、ゴーストバスター(ゴーストをとる特攻隊)が必要なように、粒子状物質を解決するためにはダストバスターが必要である。そういえば、幽霊と粒子状物質は目に見えないのに脅威的だということで似ているような気がする。