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独裁者の悲劇

Posted December. 06, 2017 09:49,   

Updated December. 06, 2017 10:44

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現在、世界で最も悲惨な国を挙げるなら、北朝鮮、シリアそしてイエメンではないだろうか。亡命兵士の寄生虫やB型肝炎が象徴する北朝鮮の困窮ぶりや、イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)のテロや政府軍の空襲で国民が死んでいくシリアはよく知られている。イエメンも深刻だ。政府が事実上崩壊したなか、この2年間、スンニ派とシーア派の内戦で約1万人が死亡した。米ドラマ「プリズン・ブレイク」シーズン5は、主人公のマイケルが、独裁の末、内戦に陥ったイエメンから脱出する内容で構成されているほどだ。

◆4日、イエメンのサレハ前大統領がフーシ派によって殺害されたことで、イエメンが一寸先も見えない状況に陥っている。イエメンを33年間統治してきたサレハ氏は、2011年にアラブで巻き起こった民主化運動「アラブの春」の影響で、翌年2月、すべての犯罪行為に対して免責を受ける条件で退いたが、ハーディー現大統領に反対して復権を狙った。サレハ氏と手を握ったフーシ派は、サナの寺院統制権をめぐって対立し、彼を殺害した。

◆「中東の狂犬」と呼ばれたリビアのカダフィ大佐は2011年、国民蜂起で42年間の鉄拳統治に幕を下ろした。故郷シルテに逃れた彼は、反政府軍によって腹部を銃で撃たれ、殺害された。2011年2月に追放されたエジプトのムバラク前大統領も、政権時の不正で6年間服役した後、今年初めに釈放された。命をあるものの、「アラブの春」で追い出された中東の3人の独裁者が同じように不幸な末路を迎えたことは偶然ではない。

◆1989年に銃殺されたルーマニアのチャウセスク大統領夫妻、地下の隠れ家に隠れていて米軍に発見され、2006年に絞首刑に処されたイラクのフセイン大統領まで、独裁者の末路は一様に惨めだ。最近では、ジンバブエを37年間統治してきたムガベ前大統領も、妻に権力を移譲しようとしたが、弾劾と国民の抵抗に直面して辞任した。後任者が側近なので、まだ何事も起こっていない。走っていた自転車が止まった瞬間に倒れるように、独裁者は権力を失った瞬間、不幸な最後を迎えざるを得ない。独裁者の悲劇は歴史の因果応報だ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員