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カレイ外交

Posted November. 08, 2017 08:40,   

Updated November. 08, 2017 08:41

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西洋料理の基本であるフランス料理を米家庭に知らせた「伝説のシェフ」ジュリア・チャイルドを題材にした映画「ジュリー&ジュリア」に出てくる最初の料理はカレイ焼きである。シェフの夢であるミシュランの3つ星を取得するために挑戦するシェフを描いた映画「ザ・シェフ」にも登場する魚がカレイだ。西洋の有名レストランでは、カレイ焼き(Sole Meuniere)は絶対欠かせない古典となっている。肉を薄切りにして、小麦粉の衣を軽く塗り、バターでカリカリに焼き上げるが、韓国のチヂミと少し似た味と言える。

◆韓国ではカレイを、焼き物だけでなく、刺身・煮物・蒸し物まで様々な形で楽しむ。特に北の方では、肉や骨が柔らかい水カレイでなれずしを作って食べたが、韓国戦争以降、避難民たちによって南のほうに伝えられた。刺身冷麺の原産地である咸鏡道(ハムギョンド)では、ジャガイモ澱粉で作った麺の上にカレイを載せた。平安北道定州(ピョンアンブクド・チョンジュ)が故郷である詩人白石(ぺク・ソク)は、「白飯とカレイと私は/私たちはどんなことでも話せるような気がする」と歌ったりもした。

◆韓米首脳の昨日の大統領府での晩餐の食卓に、巨済(コジェ)産のカレイ焼きが出された。咸鏡道避難民の親を持つ文在寅(ムン・ジェイン)大統領の故郷が巨済だ。カレイ焼きは、ドナルド・トランプ米大統領のお気に入りの魚料理であり、今年6月に文大統領の訪米当時、ホワイトハウスが出したメニューでもある。当時ホワイトハウスは、「魚が好きな文大統領の好みを考慮した」と説明したが、昨年4月、習近平中国国家主席の初の訪米首脳会談の際に、晩餐会場に出されたメイン料理もカレイだった。

◆2012年、韓米自由貿易協定(FTA)発効後、米水産物の輸入は大幅に増えている。それでもトランプ大統領が主張してきた再交渉が通れば、カレイなどを巡る全面開放は早まりかねないと、韓国海洋水産開発院(KMI)は見込んでいる。「巨済産カレイは、他の国のものより、モチモチとした食感を持っている」という大統領府の説明は、だから深い意味を持っている。首脳の晩餐には、韓米FTAの締結で大量輸入された米国産の代わりに、全羅北道高敞(チョンラブクド・コチャン)産牛肉で作ったカルビ焼きも提供された。国賓晩餐は、外国首脳に対する最も丁寧な礼遇であると同時に、外交的メッセージも込める。

趙修眞(チョ・スジン)論説委員 jin0619@donga.com