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「経済大統領」FRB議長

Posted November. 01, 2017 09:29,   

Updated November. 01, 2017 09:35

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2013年初め、米国では額面価格が1兆ドルの硬貨を発行しようという請願が行われた。米政府の負債解決のためには、このコインを連邦準備制度(FRB)に預けて、その分だけのドルをもらうということだ。ノーベル経済学賞の受賞者であるプリンストン大学のポール・クルーグマン教授までが請願に参加するほどだった。

◆実現可能性が全くないように見えるこのような議論が可能なのは、米国の通貨発行制度のためだ。FRBは、米財務部の債券を担保にして、その価値だけを「貸す」形でドル(紙幣)を発行する。利息ももらう。ただし、紙幣ではなく、コインだけは米政府が鋳造する。「1兆ドルの硬貨発行論」が持ち上がった理由だ。米大統領が議長と理事を任命するので、FRBを国策銀行と思われがちだが、実際は、JPモルガン、シティバンクなどが株主となっている私企業である。株主たちは、収入の6%を配当金として受けとる。予算も議会とは関係がない。FRBが徹底的に独立性を保つことができる背景である。FRB議長が「経済大統領」と呼ばれる理由である。

◆1987年8月から2006年1月まで18年以上も在任したアラン・グリーンスパンは、史上最も有名なFRB議長である。経済好況期に議長を務め、「過度に多くの業績を認められた」(「不況の経済学」、ポール・クルーグマン)という評価もあるが、彼の一言一言が市場を揺さぶったことは事実だ。それに負担を感じたのか、自ら 「私の影響力は過大評価された」と言うほどだった。米紙ウォールストリートジャーナルは、彼を 「タカ派(金融引き締めを好む)とハト派(金融緩和を好む)との間で妥協を見つける達人」と評価した。グリーンスパンの後を継いだバーナンキ前議長と現在のジャネット・イエレン議長はハト派に分類される。

◆ドナルド・トランプ大統領が2日、次期FRB議長を指名する。市場に友好的なハト派であるジェローム・パウエル現理事が指名される可能性が予想されるが、タカ派であるスタンフォード大学のジョン・テイラー教授も有力候補に挙がっているという。ハト派か、タカ派かによって、韓国銀行の金利政策も影響を受けざるを得ない。政治と同様に米国の「経済大統領」の就任も他国の話ではない。

朱性元(チュ・ソンウォン)論説委員 swon@donga.com