Go to contents

殴られる医師たち

Posted October. 27, 2017 08:49,   

Updated October. 27, 2017 09:36

한국어

この20年間制作された数百本のドラマの中で、医師が主人公のドラマは興行に失敗した例がほとんどない。いわゆる医療ドラマの不敗神話だ。医療ドラマの道しるべを立てた「白い巨塔」の後、自閉症医師の成長物語を扱った「グッドドクター」は、米国にシナリオまで輸出した。米国も同様で、「グレイの解剖学」「ハウス」のようなドラマは、ファンダムを率いている。医療ドラマが興行のお墨付きの理由は、病院という場所が持つ劇的要素のためだ。

◆ハンサムな男女主人公が患者の命を生かそうと奔走し、苦悩する物語はいつも吸引力がある。しかし、し烈な競争を勝ち抜いて医学部に進み、研修医の過程まで進んだ多くの専攻医(レジデント)が患者の前で教授に殴られることがある。3月は漢陽(ハンヤン)大学病院の整形外科で、専攻医たちが教授の暴力に耐えきれず、勤務地から離脱した。ところが、今回の国政監査で明らかになった釜山(プサン)大学病院の教授による専攻医への暴行は、あまりにもひどすぎる。

◆この教授は、拳をはじめ、野球ボールや手術道具、人体模型などで専攻医11人を殴った。暴行場所も、手術室に限らず、飲み会の場所や路上へとつながった。釜山大学病院組合のチョン・ジェボム支部長は、「患者の容態が悪くなっても専攻医のせいであり、業務処理が気に入らなくても暴行が加えられた。あまりにも多数に対して行われたことであり、(暴行の理由も)明確でない」と話した。専攻医たちは鼓膜が破裂しても、あざができても抗議すらできなかった。教授が、論文審査など、自分の命綱を握っているからだ。

◆医療界の中でも、外科で暴力が絶えない理由は、命のかかった緊急手術をしなければならない外科の特性上、緊張度が高いうえ、位階秩序を重視する組織文化と徒弟式修練方法のためである。問題は、暴力を振るう医師らも同様に、彼らの先輩からそう訓練を受けてきたので、暴力を内面化したせいで問題の深刻さを知らないのである。ただでさえ、外科医が足りなくて問題なのに、このような後進的研修方法で、外科医に志願するように言われても、果たして誰が行くだろうか。みんなが羨むエリート職業で、このような野蛮的行為が行われていることに唖然とさせられる。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員