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「郵便夫おじさん」の思い出

Posted September. 30, 2017 09:12,   

Updated September. 30, 2017 09:20

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「郵便夫」から「集配員」に改称されたのは2004年だが、実生活では普通、両者を混ぜて使うことが多い。手紙が珍しくなった世の中なので、最近の集配員のカバンは税金、クレジットカードなどあらゆる告知書でいっぱいだ。それでも中高年世代の心の片隅には、童謡「郵便夫おじさん」の風景が残っている。「おじさん、おじさん、郵便夫おじさん、大きなカバンを担いでどこに行くの/大きなカバンの中には手紙、手紙、入っているんでしょ。丸い帽子がとても素敵/手紙、手紙、よし、よし、来たな。お嫁さんに行ったお姉さんが明日来るって」

◆この歌詞のように馴染みの「郵便夫」が登場する映画として「イル・ポスティーノ」を忘れることはできない。イタリアの小さな島を背景に有名な詩人パブロ・ネルーダと素朴な集配員マリオの特別な出会いを描いた。ネルーダから詩の隠喩、スローライフを学んだマリオは、島の美しさを一つ一つ録音し記録する。絶壁の風の音、父親のもの悲しい網の音、木の枝に吹く風の音など。

◆以前は、郵便局が人と人をつなぐアナログの暮らしの表象だった。今は郵便サービスと金融機能を兼業する。グローバルな金融市場の変動によって、先進国では郵便と金融事業を分離して効率的に遂行する方法を悩んでいる。ドイツはすでに郵便、通信、金融分野の民営化を終え、日本は29日から郵政民営化に向けて株の売却に入った。2015年の株の新規公開後2度目だ。一方、韓国では集配員の過労死が続出する劣悪な労働環境が問題だ。郵政事業本部によると、5年間で月平均51時間の超過勤務をしたことが明らかになった。

◆山奥や島の高齢者にとって依然として最も喜ばしい客人は集配員ではないだろうか。バイクに乗ってくねくね曲がる道をやって来て、都会に行った子供たちの便りを伝えてくれるので有難く、少しの間だが温かい話し相手になってくれることもうれしい。公課金の代納、薬の遣いなど小さなことを引き受けることも日常茶飯事。長くなった秋夕(チュソク、陰暦8月15日)連休、故郷で両親に会い、「郵便夫おじさん」を待った幼少時代に思い出旅行をしてみてもいいだろう。

高美錫(コ・ミソク)論説委員