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絶滅危機を迎えた「掃き溜めに鶴」

Posted September. 26, 2017 09:33,   

Updated September. 26, 2017 10:10

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プエルトリコ出身の米スラム街の少女ソニアは、7歳の時に小児糖尿病の診断を受け、8歳の時から自らインスリンの注射を打ちはじめた。アルコール依存症の父親はこの少女が9歳の時に亡くなった。大学に入ると「少数系優遇政策」のおかげで入学したという理由でからかわれた。彼女はほかならぬ米初のヒスパニック系連邦最高裁判事ソニア・ソトマヨール(63)、米国版の掃き溜めに鶴だ。

◆文在寅(ムン・ジェイン)政府が初の経済司令塔として金東兗(キム・ドンヨン)経済副首相を抜擢したとき、聴聞会でケリョンナム(小川から生まれて龍になった男=掃き溜めに鶴という意)が話題になった。とある国会議員は、「小川から龍が生まれる社会の象徴のような人物」と賛辞を送ると、金副首相は、「小川から(生まれた)龍とはとても負担を感じさせる言葉だ」と主張した。実際彼はドヤ街で育った少年家長出身。11歳の時に父を亡くし、商業高校を出て銀行で働きながら夜間大学に通い、行政試験と立法試験まで合格した立志伝的人物だ。

◆大韓民国の現在が存在するまで、不遇な環境の中でも夢をかなえた人たちが流した汗と涙があった。富と地位の相続が固着され、今は「小川の龍」もなかなか目にできなくなっている。しまいには、「通帳から龍が生まれた」という言葉までできたほどだ。実際の研究でも、このような現実が立証された。ソウル大学経済学部のチュ・ビョンギ教授と博士課程のオ・ソンジェ氏が発表した論文によると、階層移動に成功した人の数がこの13年間で半分に減少した。研究チームが独自に開発した「小川の龍指数」により、父親の職業と学歴に応じて機会の不平等が左右されることが分かった。米国とイタリアも韓国と同様に韓国と似た状況だった。

◆絶滅危機を迎えた小川の龍の個体数を増やすことは、国の未来と直結した問題だ。階層移動のはしごが切れた社会では、経済成長はもとより、若者たちが希望を見つけるのが難しいからだ。だからといって怒りと嘆きばかりするわけにはいかない。米歴史に新たな道しるべを立てたソトマヨールは、自分を作った秘訣を「怖いという理由で立ち止まらないこと」としながら、このように成功を定義した。単なる身分上昇ではなく、出発点からどれだけより遠くまで来ているかが、その物差しになるべきだと。

高美錫(コ・ミソク)論説委員