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世界を変えた1等の三星

Posted September. 23, 2017 08:21,   

Updated September. 23, 2017 08:33

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「ただの一つの不良品もだめだ。すべてを廃棄処分しろ」

1993年6月、ドイツのバーデンバーデンにあるホテル。三星(サムスン)グループの役員らとお茶を飲んでいた李健熙(イ・ゴンヒ)会長は相当腹を立てていた。社内放送で現場の従業員が不良洗濯機のふたをナイフで削り出した後、組み立てている様子を見た直後だった。隣の席の李洙彬(イ・スビン)秘書室長が、「会長の意思は分かるが、現場では苦しみが少なくありません」と言うと、李会長は、「なぜ言うことが分からないのか!」と大声で腹を立てた。ティースプーンを強く置いたため、受け皿が割れるような音が聞こえたという。

◆「妻と子供以外はすべて変えよう」という李健煕の新経営宣言はこのように誕生した。ロサンゼルスから東京、フランクフルトまで68日間、役員や社員1800人余りを集めて机を叩きつけながら鋼機を引き締めた。李会長が何度も強調したのは、品質経営と1等注意だった。4年後に見舞われる国際通貨基金(IMF)の通貨危機を誰も予測できなかったとき、三星は新経営で危機を克服し、超一流企業の仲間入りを果たした。

◆進化速度の速い産業では、速やかで果敢な決断ができるオーナーシップ指導者が、短期間の成果にこだわる専門経営者より優れている。SKハイニックスが参加した韓米日連合の日本東芝メモリの買収合併(M&A)の成功がこれを雄弁する。米国、台湾企業との再交渉などで候補間の優劣が頻繁に変わる状況で、崔泰源(チェ・テウォン)SK会長の決断がなかったら成功は難しい血のにじむゲームだった。「意志あるところに道はある」という崔会長の馬鹿力が光を放った。

◆米経済専門誌「フォーブス」が「過去100年間、世界を変えた5大アジア企業」に三星を最初に上げた。日本のトヨタ、ソニー、中国のアリババよりも三星を前面に出した。韓国経済の支えである半導体、自動車は、グローバル市場で絶えず挑戦したオーナーの企業家精神と長期的視点、果敢な投資決定無しでは生まれない。参謀がいくら有能でも最終決定はオーナーの役目である。主人が席を守らなければならない厳重な時期に足を引っ張られているなら国家的損だ。

崔永海(チェ・ヨンへ)論説委員