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公取委員長の傲慢と偏見

Posted September. 12, 2017 09:22,   

Updated September. 12, 2017 11:11

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アップルの創業者「スティーブ・ジョブズ」が偉大なことは、自分だけの直観をビジネス世界に適用した勇気だった。一般的に容認されない直観に依存する天才だから、従業員を扱う方法も当然、民主的方法とは程遠かった。ソフトウェア技術の最高責任者「アビー・テバニアン」がゴルフをすると言われて、ジョブズは、「そんな暇の人間がいるのか」と怒った。テバニアンはそのようなジョブズを、「他人を箱の中に閉じ込めておいて、一人で働くスタイルだ」と話した。

◆金尚祚(キム・サンジョ)公正取引委員長が、「ジョブズは独裁者スタイルの経営者だったが、未来を見込んだので、そのおかげで尊敬を受けているが、ネイバーの李海珍(イ・へジン)元議長は韓国社会にそんなことを示せなかった」と、とあるインタビューで語った。ジョブズに会ったこともなく、李元議長とはわずか10分間会ったという金委員長が、二人の起業者を比較して公表した勇気に驚かざるを得ない。金委員長は、準大手企業集団に指定されたネイバーの支配構造が気に入らないだろうが、アップルの支配構造も議論があった。韓国では、政府が企業経営に関与するが、米国では株主総会や年金基金が意見を出すことが大きな違いだ。

◆金委員長の発言に、ダウム創業者であるイ・ジェウン氏が9日、「韓日最高のインターネット企業をこのように評価するのは傲慢だ」と批判した。昨日はフェイスブックに再び掲載した文で、自分を革新企業家に規定しながら、冒険をかけて生きていく企業家こそ尊重されるべきだと主張した。金委員長が昨日、公の席で自分の発言が不適切だったと謝罪したことで、ひとまず議論は下火になっている。しかし、企業家についての金委員長の考え、または偏見は明らかにする必要がある。

◆「経済検察」と呼ばれる公取委員長とベンチャー第1世代との攻防は、起業を促してきた政府が成長している企業に対してどのような規制をするべきか、疑問符を残した。ツイッターを設立したジャック・ドーシーの言葉は参考に値する。「企業は、一度の起業で終わるのではなく、いくつかの山場を経ながら再起業の瞬間を迎える」。常に挑戦しながら生滅する企業の原理を金委員長は理解してほしい。不公正取引を正すのが彼の役割だといっても、根拠のない批判で士気をそぐのは越権だ。

洪守鏞(ホン・スヨン)論説委員 legman@donga.com