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「障がい者大会が先」忠清北道の配慮

Posted September. 06, 2017 08:52,   

Updated September. 06, 2017 10:23

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平昌(ピョンチャン)冬季五輪まで5ヵ月あまりを残している。五輪閉会12日後(3月9日)にはパラリンピックが始まる。五輪への関心も盛り上がらないのに、パラリンピックは言うまでもないだろう。関心どころかパラリンピック自体を知らない人もまだいる。

映画製作を手がけているチェ・チャンヒョン氏もそうだった。短編映画を数本演出したチェ氏が、パラリンピックに関心を持つようになったのは昨年3月、豪州の女性コメディアンでジャーナリストとしても活躍したステラ・ヤング氏(1982~2014)の講演動画を見たのがきっかけだった。ステラ・ヤング氏は、「障がい者は非障がい者に霊感を与えるための存在ではない。障がい者の達成は、それ自体で評価されるべきだ」とし、障がい者に対する社会の「認識障がい」を修正しようと努めた人物だ。彼女を通じて障がい者を見る目を得たというチェ氏は、最近ドキュメンタリー映画「パラレル(Parallel=並行)」を制作している。テーマは五輪とパラリンピックの統合。障がい者と非障がい者が開会式から一緒に参加する大会を通じて、五輪を真の「世界人の祭り」にしようというものだ。

非障がい者と障がい者の競技種目を細分しても、メダル集計を合算すれば障がい者選手が今よりははるかに多くの関心が集まるだろうという。簡単な話ではない。まずは五輪を主催する国際オリンピック委員会(IOC)とパラリンピックを主催する国際障がい者オリンピック委員会(IPC)が意気投合しなければならないが、今のところは不可能と言って良いだろう。一例を挙げよう。IOCは2011年7月の総会を控えて平昌、ミュンヘン(ドイツ)など2018年五輪開催候補都市の招致委員会に、「各国はIOCの決定があるまで、パラリンピックの同時開催義務を履行する必要がない」という公文書を送った。IOCは、すでに2000年にIPCとのシドニー協定を通じて同時開催や同等水準の支援を明文化したが、パラリンピックへのグローバル企業の支援が増えると、IOCに回る分が減ることを警戒して「警告」したものだった。国際社会の世論に押されてなかったことになったものの、IOCとIPCの利害が異なることを如実に見せ付けた出来事だった。その後、IPC内部ではパラリンピックの別途開催を主張する声も上がったが、支持されなかった。パラリンピックだけを開催すると名乗り出る都市が簡単に現れるはずがない。

こうした現実がある中、15日から忠清北道(チュンチョンブクド)で開催される全国障がい者体育大会(体典)は国内の障がい者スポーツ歴史に大きな意味を残す大会となるだろう。初めて全国体育大会より先に開かれるからだ。五輪とパラリンピックのように、全国体育大会(体典)を先に開催してきた慣例を変えたものだ。障がい者体典を後に(10月)開催すると相対的に寒さに弱い選手が負傷する危険が高くなり、競技力にも影響が出るという障がい者体育会の意見を忠清北道が大胆に受け入れたのだ。非障がい者大会を主催する団体は激しく反発した。いろいろな理由が挙げられたが、要約すると「障がい者が先だなんて、けしからん」ということだ。

雲泥の差があるほどのテレビ中継時間からも分かるように、国内で五輪とパラリンピックの地位は比較にならない。障がい者体典も同じだ。居候をしている境遇だった。全国体典が終わると同時に、「彼らだけのイベント」になった。規模面ではるかに大きい全国体典が先に開かれるなら、そういう疎外感ははるかに緩和されるはずだ。社会的弱者たちの障がい者体典を先に開くからといって全国体典の地位が下がるのではない。ただ、順番を変えるだけのことだ。障がい者スポーツの関係者たちまでも驚かせた忠清北道の配慮が、持続可能なことの始まりで統合体典への第一歩になることを願う。