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香港の「金の匙」、デビッド・タン

Posted September. 02, 2017 08:14,   

Updated September. 02, 2017 09:45

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彼は英国王室と格別の親交を交わした。生前にダイアナ妃の友人であり、エリザベス女王にはトランプの「トリック」を伝授した間柄だった。完璧なマナーとファッション感覚、芸術的見識まで備えており、文化界でも顔が広かった。ロンドン交響楽団の重要スポンサーであり、有名な美術愛好家だった。俳優ラッセル・クロウ、モデルのナオミ・キャンベルのようなスターたちとも打ち解けて過ごした。

◆ロンドンはもとより、ニューヨーク、パリなどでこのように縦横無尽に活躍した彼は、ほかならぬ香港出身の実業家デビッド・タンである。1954年に香港の名門家で生まれたタンは、13歳のときに英国に渡ってケンブリッジ大学を卒業した典型的な金の匙だった。弁護士として活動し、1998年に中国の伝統的衣装に西欧の感受性を融合させたファッションブランド「上海タン」を設立した。2007年アン・リー 監督の映画「色・戒」で艶やかな女主人公タン・ウェイが着たチャイナドレスが「上海タン」である。

◆レストランや高級社交クラブ、キューバシガーの販売会社などを運営して富を蓄積したタンは、パーティー好きのプレイボーイとして名をはせたが、同時に慈善活動にも格別な情熱を注いだ。2008年、英女王からナイトの称号を受けた理由である。自分のルーツについての誇りが高く、「香港の魅力は自由」と、香港の民主化のための傘革命に強力な支持を送った。鼻の高い西欧人たちも認めた高品格の趣向と肥えた目を活用して、中国と中国文化を世界に知らせる超特急民間大使の役割を果たしたことでも有名である。東洋人でありながら、英国の魅力に深く陥ったタンは、自分は「上辺だけの中国人」と言いながら、自分を「バナナ」に例えるユーモアも忘れなかった。

◆先月30日、肝臓癌で彼ら死去したというニュースが報道され、英国と香港を中心に哀悼の波が続いている。自分の死を予感して6日、最後になるパーティーを準備したが、結局出席できなくなった。香港のレジェンド級金の匙の生涯を目にして、金の匙にも格があることを知ることになる。恵まれた生活を堂々と享受しながら、富の社会還元も怠らなかったタン、韓国社会にも、私たちが恥ずかしがらないほどの金の匙があればと思う。