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[オピニオン]北朝鮮旅行はロンドンより安全?

[オピニオン]北朝鮮旅行はロンドンより安全?

Posted August. 26, 2017 10:17,   

Updated August. 26, 2017 10:25

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残酷な独裁者スターリンは、ソ連に同調する西欧の左派勢力と観光客を「役に立つ馬鹿」と言った。「血の大粛清」が起こる中、ソビエトの宣伝扇動をそのまま信じて追従した西欧世界の「愚か者」を嘲弄したのだ。元々はレーニンが使った表現だがスターリンも使用した。

◆北朝鮮が外国人観光客の誘致に熱を上げている。「役に立つ馬鹿」のおかげで年間約4000万ドルの観光収益があるためだ。国連が「現時代に類例のない」人権侵害を行う体制と規定した北朝鮮を訪れる西欧人。自分たちが使った金が北朝鮮の核開発や残酷な独裁体制の維持に使われるということを分かっているのか、分かっていないのか。倫理的理由でなくとも北朝鮮観光は危険千万な選択だ。2008年、金剛山(クムガンサン)観光に行って殺害されたパク・ワンジャさん、北朝鮮旅行に行って今年送還された米国人大学生、オットー・ワームビアさんの残念な死がその証拠だ。

◆ロシアは24日、北朝鮮が承認した旅行代理店「エヌコリアン」のモスクワでの開設を許可した。来月1日から北朝鮮旅行を全面禁止した米国と相反する措置だ。エヌコリアンが紹介する15日間の観光商品の価格は約2000ドル。この旅行代理店はオンラインで「ロンドンで夕方に散歩するよりも安全な休日を楽しむことができる」と宣伝したが、これが問題となった。今年に入って英国で繰り返されたテロの惨劇を浅はかにも販売戦略に使ったからだ。時事週刊誌タイムによると、2014年には10万人が北朝鮮を訪問した。2020年までに200万人を誘致することが北朝鮮の遠大な目標だ。

◆ナチス・ドイツのアウシュビッツの観光が容認できない発想であるように、北朝鮮観光も容認することはできない。『あなたがいなければ私たちもいない』を書いたスキ・キムさんが、「2500万人の住民が捕虜のように閉じ込められている巨大収容所のような国」の観光を「拷問ポルノ」と遠回しに言った理由だ。エヌコリアンの記者会見で、北朝鮮大使館参事は「安全の保証を」を強調したが、片腹痛い。北朝鮮観光を選択する前に覚えておくべき言葉がある。「好奇心は猫を殺す」。行き過ぎた好奇心の危険を警告した西洋のことわざだ。

高美錫(コ・ミソク)論説委員mskoh119@donga.com



コ・ミソク論説委員 mskoh119@donga.com