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ソウルビーチ

Posted July. 28, 2017 11:30,   

Updated July. 28, 2017 13:05

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フランス・パリにはビーチがない。2002年当時、ベルトラン・ドラノエ・パリ市長は、「なければ作ればいい」と果敢な発想転換をした。セーヌ川周辺を走る道路をふさいで、数千トンの砂を運んできては人工ビーチを作った。ほかならぬ「パリプラージュ(plage・ビーチ)」だ。水の流れの速いセーヌ川での泳ぎは禁止されているが、砂浜に横たわってシャンパンやワインを飲みながら忙中閑を楽しむことができる。パリ特派員時代に気になって行ってみたが、社交ダンスを皆が一緒になって踊る姿が興味深かった。今はメッツのようなフランスの他の都市とベルギーのブリュッセル、イスラエルのエルサレムにも伝播された。

◆「舗装ブロックを取り外せ。ビーチが現れるだろう」。フランス68革命の有名なスローガンの一つだ。68革命には強圧的権力への抵抗と共に、都市で失われた共同体性を回復しようという試みが調和していた。ドラノエ市長が道路の舗装材を取り外したわけではないが、道路上に砂を敷いてビーチを作ったのは、68革命のスローガンを半分くらいは実現したのと同然だ。

◆30日まで、ソウル潜水(チャムス)橋に車両通行を止めて、約500メートルの区間に砂浜が設置される。朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長は、ドラノエ市長のアイデアが気に入ったらしい。2015年は公共自転車「ヴェリブ」を模して「タルンイ」を作ったが、今度はパリプラージュを模して「潜水橋ビーチ」を作った。昨年、漢江(ハンガン)の水辺に砂浜が設けられたが、あまり注目されなかった。今年、潜水橋に変わりながら注目を集めたのは、車両がオーナーだった橋が初めて完全な人間の空間になることに痛快さが感じられたからではないかと思う。

◆パリプラージュは1カ月間であり、ソウルプラージュは3日間である。1カ月でもなく、わずか三日間のために800トン以上の砂を運んでくるのか、という気もする。セーヌ川の周辺は公共交通機関によるアクセスが容易だが、潜水橋はどうか分からない。子供だけでにぎわう遊び場になるなら、ビーチのような感覚は薄れる。パリ市民は露出に慣れているけれど、韓国の成人たちはどうだろう。借りてきたアイデアが私たちの境遇に必ずしもぴったり合うとは限らない。それでも、そこで一風違った都市の経験ができるという期待は十分ある。