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北朝鮮のICBM成功で揺れ動く韓半島のパラダイムが変わった

北朝鮮のICBM成功で揺れ動く韓半島のパラダイムが変わった

Posted July. 05, 2017 09:42,   

Updated July. 05, 2017 09:55

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北朝鮮が4日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射に成功したと発表した。北朝鮮は、「核兵器とともに世界のどの地域も攻撃できる最強の大陸間弾道ロケットを保有する堂々たる核強国」と宣伝した。北朝鮮が主張するICBMが小型化された核弾頭の大気圏再突入の技術まで成功したのかどうか検証が必要だが、「核保有国北朝鮮」につながる「ICBM保有国北朝鮮」の登場は、韓半島情勢のパラダイム転換であり、これによる対応も抜本的な修正が要求される。

北朝鮮は、平安北道亀城(ピョンアンプクト・クソングン)の方峴(バンヒョン)飛行場から「最大高角」で発射したミサイル「火星(ファソン)14」が最高2802キロまで上昇し、933キロ飛翔して東海(トンヘ・日本海)上に落ちたと明らかにした。正常な角度で発射したなら、射程距離がICBMの最小性能である5500キロ以上の6000キロを上回るため、米アラスカを攻撃することができる。最大の難関である再突入技術を確保したかどうかは、海に落ちた弾頭の残骸を回収して分析してこそ完全に把握できるため精密な検証が必要だが、これまで北朝鮮の核・ミサイル開発の速度に照らして成功の可能性が高そうだ。

北朝鮮の主張どおりICBM発射に成功したとすれば、北朝鮮は米国、ロシア、中国、インド、イスラエルに続き世界6番目のICBM保有国に記録される。北朝鮮は「特別重大報道」を通じて、「国家の核武力完成に向けた最終関門であるICBM試験発射に成功した」とし、「共和国の歴史に特記する大慶事、特大事変」と主張した。米国が設定した「レッドライン」、すなわちICBM完成段階をすでに越えたか越える一歩直前で、米国を直接脅かす「最悪の反米ならず者国家」になったのだ。

これまで韓米当局は、北朝鮮のICBM完成はトランプ大統領の任期末まで、いくら早くとも1年以上かかると予想した。むろん北朝鮮の主張を直ちにICBMの完成と見ることはできないが、これまで安易に判断したのではないか反省する必要がある。特に、「(金正恩労働党委員長は)表向きでは核とミサイルで『嘘』をつくが・・・」と言っていた文大統領の認識も振り返る必要がある。

北朝鮮は次の措置としてICBMに搭載する小型化された核弾頭の実物または模型を公開する可能性があると専門家たちは見ている。このため、米国と日本が陸上と海上の迎撃システムを増強することが予想され、韓半島周辺国がミサイル戦力の軍備競争をするなど、北東アジアの安保地勢は荒波にもまれるほかない。

北朝鮮は、韓米首脳会談のわずか3日後に、米独立記念日と7・4南北共同声明45周年を期に挑発を強行した。特に文大統領が、「今が北朝鮮が対話のドアに向かうことができる最後機会になるだろう」と呼びかけた翌日に「特大挑発」で答えた。すでに対南機構を通じて「米国を訪れて、ありとあらゆる醜態をさらした」とし、文大統領の訪米を「崇米事大」、「対米屈従」と非難した北朝鮮だ。今や北朝鮮は韓国を飛び越えて米国と直接取り引きしようとし、米国も目前の脅威のために北朝鮮との交渉に出る可能性もある。

「ICBM保有国北朝鮮」は、これまで北朝鮮が核兵器の開発を放棄する可能性もあるという前提の下に作られたすべての対北政策が幻想による便宜的楽観論だったことを立証する。韓米首脳は共同声明で、「北朝鮮が正しい道を選択するなら、国際社会とともに北朝鮮により明るい未来を提供する準備ができている」とし、北朝鮮に対話テーブルへの復帰を呼びかけた。しかし、すでに憲法に「核保有国」を明示した金正恩(キム・ジョンウン)政権だ。北朝鮮の核の廃棄は実現不可能な目標だった。

にもかかわらず文大統領は4日、「制裁や対話などすべての手段を動員して安全な北朝鮮の核廃棄を達成するための努力を主導的かつ能動的に展開する」と主張した。対話のハードルを下げて「行動対行動」の段階別補償プログラムを稼動するという新政権の対北政策は、再び北朝鮮の欺瞞に愚弄される結果を生むことが明白なのに左の頬を殴られて右の頬まで差し出すようなものだ。

大きな問題は、北朝鮮の核の脅威の高まることは、韓半島の危機の常時化につながるということだ。これまで北朝鮮の核・ミサイルを「最も明白で緊急な最大・最優先の脅威」と考えてきた米国は、再び最高の軍事的圧力で韓半島を危機に追い込むことも、北朝鮮にICBM開発凍結の約束を取り付けて妥協する最高の関与(engagement)で韓国を締め出すこともできる。結局、文大統領が強調した南北関係の主導権どころか北朝鮮の脅威にただ振り回されるほかない状況に置かれる恐れもある。

文大統領は、「北朝鮮の核・ミサイルは、韓国と友好国の安保と国民の生命を脅かす生存の問題」とし、断固対応する考えを明らかにした。しかし、言葉だけの断固たる対応は北朝鮮をさらにいきがらせるだろう。主要20ヵ国・地域(G20)首脳会議を機に、日米韓3国間、ひいては世界的に緊密な国際協力体制の下、北朝鮮に対する最高の圧力を講じなければならない。米国のトランプ大統領はすでに「あの人(金正恩委員長)はそんなにすることがないのか。韓国と日本が耐えて待たなければならないということは信じ難い」とし、強力な圧力を予告した。

さらに国内的には、韓半島の安保パラダイムの変化に伴い、自強の意志で北朝鮮の脅威に対抗しなければならない。北朝鮮の高まる核の脅威に対して米国の拡大抑止だけに頼ることはできない。戦術核兵器の再配備や核武装の潜在力の確保などの抑止力や、北朝鮮の挑発に対する徹底した報復戦力の拡充など新たな安保体系で断固たる対応を見せるべきだ。韓半島情勢のパラダイムが変わったなら、対北政策も変わらなければならない。