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大統領府「THAAD調査」、結局4台の追加配備を中止に

大統領府「THAAD調査」、結局4台の追加配備を中止に

Posted June. 06, 2017 08:46,   

Updated June. 06, 2017 08:47

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大統領府は5日、米国の地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の発射台4台の追加搬入の報告漏れと関連して、「魏昇鎬(ウィ・スンホ)国防部国防政策室長が報告書の草案にあった追加発射台4台の保管位置などの文言を削除するよう指示したことが確認された」と明らかにした。これにより、魏室長は職務から外され、追加調査を受けることになった。さらに国防部がTHAAD配備地に対する環境影響評価を回避しようとしたことが確認され、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が経緯の把握を指示したと、大統領府は付け加えた。THAAD報告漏れ論議が環境影響評価の回避経緯調査に移行しつつある。

大統領府の発表は、文氏が「非常に衝撃的」と言って真相調査を指示して6日後に出た民情首席秘書官室の調査結果だ。当初大統領府は、「国防部が意図的に報告を漏らした」と断言し、下剋上だとか綱紀紊乱と言って論議を拡大させた。しかし、今回の調査で意図性は確認されなかった。実際、THAAD1基の砲台が発射台6台で構成され、発射台4台の追加搬入はすでにメディアで報道されており、軍首脳部が故意に隠す理由はなかったことは事実だ。結局、軍の過度な秘密主義の慣行と前・現外交安保ライン間の不信にともなう意思疎通の混乱が生んだ事故だったわけだ。大統領府が初めからそれほど大げさに騒ぐ事案であったか自省すべき点だ。

わずか6日間だが、THAAD報告をめぐる論議は、国家安保室と国防部の真実攻防、さらに韓米外交の不協和音まで無駄なコストを招いた。特に、韓半島の安全保障の根幹である韓米同盟に悪影響を及ぼしたことを否定することはできない。韓国政府は、「既存の決定を変えようとしたり、他のメッセージを伝えようとしたりするわけではない」と強調したが、訪韓した米国のディック・ダービン上院院内総務は、文氏に「韓国が望まないなら、THAAD予算を転用することもできる」とまで言った。

大統領府は報告漏れとは別に、国防部がTHAAD配備地に対する環境影響評価を回避しようとしたことを問題視している。国防部が意図的に供与面積を「戦略環境影響評価」の対象である33万平方メートル未満の約32万平方メートルに限定し、「小規模環境影響評価」だけ受けるようにする小細工をしたということだ。これに対して文氏は、適正な環境影響評価を実施するよう指示した。結局、最長1年以上かかる戦略環境影響評価が実施される間、THAAD配備の手続きは全面中断が避けられなくなった。このため、報告漏れ論議はTHAAD配備遅延のための言い訳だったのではないかという疑念を抱かせる。

さらに5日、金基正(キム・ギジョン)国家安保室第2次長が、延世(ヨンセ)大学教授時代の不適切な言動などの問題で更迭された。外交安保戦略と実務を務め、今月末に予定された韓米首脳会談の準備業務も担っていた人物が検証の失敗で辞任したことで、国家安保室は信頼の危機に陥った。THAAD配備が遅れ、文氏が約束した「外交的解決策」のための時間稼ぎになるかも知れない。しかし、これまで国会批准をめぐる政界の攻防は加熱が予想され、米国との意見の相違を調整することも容易ではないだろう。直ちに北朝鮮のミサイル挑発がますます大胆になる状況で、このような挑発をどのように防ぐのか対策もまったくない。新政権が強調する正当性・透明性が論議だけを大きくする格好になるなら、その責任は誰が負うのだろうか。