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「認知症国家責任制」、モラルハザードを警戒しなければ

「認知症国家責任制」、モラルハザードを警戒しなければ

Posted June. 05, 2017 08:39,   

Updated June. 05, 2017 08:40

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文在寅(ムン・ジェイン)大統領が2日、「訪ねて行く大統領」の3回目のシリーズで療養院を訪れ、認知症診療費の90%を国家が支援することを含む認知症国家責任制を宣言した。国家が認知症患者を支援するシステムを設け、認知症患者と家族に実質的な助ける政策に異議を提起する人は誰もいないだろう。

世界的に7秒に1人がかかるほど認知症は高齢化の陰だ。韓国の認知症患者は今年72万5000人で、2024年には100万人に達する見通しだ。記憶力と判断力の喪失、うつ病を伴う認知症は完治が難しく、進行を遅らせることができるだけだ。患者を一人にすると何が起こるか分からないため必ず保護者が必要だが、患者は家族も分からないため、家族の暮らしを荒廃させる。「癌より恐ろしいのが認知症」と言われるのはこのためだ。

このような特性を考慮すると、認知症が福祉政策の最優先課題にならなければならないのは当然だ。認知症国家責任制には国家支援を受けることができる認知症患者の範囲を重症から軽症に拡大し、47しかない認知症支援センターを270に増やすことなどが含まれている。現在、レベル判定が難しく、多くの患者が支援を受けられない現実を考えると、長期療養保険のハードルを下げる措置が必要だ。文氏は、今回の追加補正予算に認知症関連予算2000億ウォンを計上し、認知症国家責任制への意欲を示した。認知症患者を世話する療養保護士の待遇改善も急がれる。

ただ、短期間の支援強化にともなうモラルハザードを警戒する必要はある。患者の数によって療養給与が支給される療養院の場合、運動とリハビリではなく単純な受け入れに止まるだけでなく、療養保護士を虚偽登録する方式で給与を水増し請求する不正が頻繁に起こっている。療養機関で行われている認知症患者に対する人権侵害も阻止しなければならない。24時間の見守りなど在宅サービスの種類を多様化し、品質も向上させなければならない。認知症国家責任制によって受恵者が急増すれば、老人長期療養保険の財政に赤信号がともるため、保険料引き上げが避けられないことも説得させなければならない。