Go to contents

「THAAD報告漏れ」波紋、韓米同盟に害となってはならない

「THAAD報告漏れ」波紋、韓米同盟に害となってはならない

Posted June. 01, 2017 08:41,   

Updated June. 01, 2017 08:42

한국어

米国の地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の発射台4台の追加搬入の報告漏れ問題と関連して、大統領府の尹永燦(ユン・ヨンチャン)国民疎通(旧広報)首席秘書官は31日、「国防部の実務者が作った草案にあった『6台の発射台、某キャンプに保管』の文言が講読の過程ですべて削除され、韓国に(THAADが)展開したという趣旨だけ曖昧に記載されたことを確認した」と明らかにした。独自調査に着手してから一日で超高速の発表をすることで、事案を厳重に見ていることを示唆した。報告状況を時間帯別に公開し、韓民求(ハン・ミング)国防長官が鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長に報告しなかったという発言まで紹介したことは、国基紊乱に相当する深刻な水準と見ているということだ。

経緯はどうであれ、国防部が先に原因を提供したことは事実だ。もし国防部の首脳部がTHAADに批判的な新政府を意識して、THAAD配備を推し進めるために意図的にしたのなら、軍統帥権者である大統領の権威を傷つけた「軍規紊乱」行為だ。THAADに対して新政府が持っている敏感さを十分に考慮したなら、長官はもう少し注意深く十分な説明をすべきだった。間もなく退任すると考えて緊張が緩んだのか、去るついでにTHAADの大釘を打ち込もうとしたのか、問い詰めなければならない。

 

しかし国防部が、すでにメディアで公開され、どうせ間もなく明らかになることをなぜ隠したのかという疑問は残る。軍がいくら規律弛緩がひどいといっても、軍統帥権者が変わったからと報告漏れを故意に行ったとの推定は、容易には納得できない。あるいは6台がすでに韓国国内に搬入され、そのうちの2台が星州(ソンジュ)に配備され、4台が追加配備されなければならない連続事業であるために、業務報告の過程で、実務ラインで起こった混乱かミスである可能性もある。

問題は、今私たちがこのようなことで内部争いをしている時かということだ。北朝鮮は、米軍の空母が韓半島に配備されたにもかかわらず、1ヵ月間毎週ミサイルを発射している。北朝鮮の核とミサイルに対する対策もなく最低限の防衛兵器に対してこのように敏感に反応するのを見ると、国民としては不安だ。北朝鮮に対する防衛の最前線を担う軍を追い詰め、報告漏れを問題化することで、士気の低下を招くのではないか心配される。

中国は31日、報告漏れ問題に「厳重な憂慮」を表明し、直ちにTHAAD配備を取り消すよう求めた。一方、米国防総省は、「韓国のTHAAD配備の過程は非常に透明だった」と明らかにした。韓米初の首脳会談を目前にして現存する葛藤も調整しなければならない時に、韓米同盟に否定的な信号を発信する必要があるだろうか。国民の生命と財産を保護しなければならない大統領と大統領府は、特に外交安保事案だけは事の軽重を考えて慎重に対応することを願う。