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過去より未来に向かった社会統合福祉国家の建設を

過去より未来に向かった社会統合福祉国家の建設を

Posted May. 13, 2017 10:02,   

Updated May. 13, 2017 10:02

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文在寅(ムン・ジェイン)大統領は昨日、業務指示の第2号として「国定教科書の廃止」と5・18記念式での「君のための行進曲」提唱を指示した。その前日、文大統領が「セウォル号」の再調査を指示したのに続き、朴槿恵(パク・グンヘ))政府の積弊清算の引き金を引いたことになる。新しく発足した政府が国民大統合を叫びながら、「過去」に目を固定したまま、内部分裂を刺激する歩みを続けていけば、対立治癒を願う国民の期待に反する。

文大統領の指示により、朴槿恵政府の力点事業である国定教科書は6ヶ月ぶりに消え、今年の5・18記念式では、「君のための行進曲」を提唱することになった。尹永燦(ユン・ヨンチャン)大統領国民疎通首席秘書官は、「国政歴史教科書は、旧時代的画一的歴史教育と国民を分裂させる敵味方を分ける教育の象徴であり、これを廃止することは、歴史教育が政治的論理に利用されてはならないという大統領の確固たる意志を示したことだ」と説明した。本欄では、検定教科書の左寄りの見方は深刻な問題だが、国定化も同様に歴史教育の画一化という点で反対したことがある。しかし、新政府の廃止措置が大韓民国の正統性を毀損したり、「敵味方を分ける教育」のもう一つの歴史戦争へと突っ走ってはならないだろう。

セウォル号と関連した再調査に言及したのも尋常でない。文大統領は一昨日、「セウォル号の特別調査委もまともに活動できずに終わったため、再調査されればと思う」と語った。これを受け、引き揚げられた船体調査に加え、第2次特別調査委員会発足の可能性まで取り上げられている。しかし、無理な増築や貨物の積みすぎのような沈没の直接的原因が明らかになった状況で、再調査でどんな疑惑をより明らかにし、どのような真実究明をするというのか疑問だ。

ただでさえ、韓国社会の対立はすでに爆発寸前だ。国定教科書廃止などがイデオロギー対立の火種を抱えているなら、所得不平等に根ざした二極化問題は、深刻な階層間対立を予告している。実際、「2016年の家計動向」によると、2008年から改善されていた所得分配が昨年悪化たことが明らかになった。昨年、上位20%世帯は所得が増加した一方、低所得層は、史上最大の減少幅(5.6%)を記録した。昨年、非正規職労働者の月平均賃金は149万40000ウォンで、正規職(279万5000ウォン)の53.5%に過ぎなかった。また、中小企業労働者の月平均賃金は323万ウォンで、大企業(513万ウォン)の62.9%だった。

新政府は、イデオロギーであれ、階層であれ、社会対立を減らす解決策に優先順位を置くべきである。このため、社会的弱者にも機会の平等と人間らしい生活を享受できる環境を提供する福祉政策を設けることが緊急課題だ。福祉政策と関連して、文大統領は、下位70%の高齢者に最大で20万ウォンを支給する基礎年金を30万ウォンにまで一括引き上げる、0〜5歳の児童手当(月10万ウォン)と青年求職促進手当(月30万ウォン)を導入すると約束した。

世代適合型社会保障サービスを提供する福祉社会の青写真に共感しながらも、実現可能性への懸念は消すことができない。財源調達対策が不透明である。公約集を見ると、大統領選挙公約に必要な財政35兆6000億ウォンのうち、福祉関連支出は24兆3000億ウォンに達する。基礎年金引上げに年4兆4000億ウォン、すでに保育支援と子育て手当を支給しているのに、児童手当まで作れば、年2兆6000億ウォンの追加財源が必要となる。朴槿恵(パク・グンヘ)前大統領の大統領選挙公約であるヌリ過程予算をめぐり、毎年「保育大乱」が繰り返される現実を反面教師にしなければならない

一度行った福祉は元に戻すのが難しい。「普遍的福祉」という名の下、ばらまき性福祉を増やすより、福祉死角地帯を減らし、脆弱階層により多くの恩恵が回る「適合型福祉」について心配する時だ。大統領候補討論会で文大統領を含む一部の候補は、「中負担・中福祉」を取り上げたが、いざ国民に増税を説得するのは容易でない。だからといって、国の借金を増やせば、未来世代に罪を犯すことになる。成長と良質の雇用創出で、福祉拡大の解決策を見つなければならない。

弾劾過程で「ろうそく」と「太極旗」に激しく分裂した韓国社会には、これまで以上に社会統合が切実な話題に浮上している。「国民皆の大統領」を誓った文大統領は、任期前半が今後の5年間を左右する分岐点になるだろうという覚悟で、どのように国民統合を実現し、未来を切り開くのか、その設計図を提示しなければならない。イデオロギー、階層、世代など社会対立の解消のための統合のリーダーシップが切実に求められる。