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トランプ大統領の「1兆ウォンTHAAD請求書」、次期政権外交初の試験台だ

トランプ大統領の「1兆ウォンTHAAD請求書」、次期政権外交初の試験台だ

Posted April. 29, 2017 08:31,   

Updated April. 29, 2017 08:31

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米国のトランプ大統領が27日、ロイター通信とのインタビューで、慶尚北道星州(キョンサンプクト・ソンジュ)に配備した高高度防衛ミサイル(THAAD)について、「10億ドル(1兆1300億ウォン)のシステムだ。韓国を保護するのになぜ米国が金を出すのか。韓国が費用を負担するのが適切だと通知した」と明らかにした。いくらトランプ氏が「ラクビーボール」だとしても、「最高の圧迫と関与」という強硬対北政策を発表して1日でTHAAD費用の請求書を突きつける態度には当惑せざるを得ない。

外交部当局者は去る7月、在韓米軍地位協定(SOFA)の規定によって、THAADの購入と運用費用は米軍が、配備地と基盤施設は韓国軍が提供するという約定に署名し、THAAD費用を払えという米国側の通知は受けたことがないと明らかにした。韓米協定を無視したトランプ氏の話は、中国の執拗な反対にもかかわらず、THAAD配備の正当性を一貫して表明してきた韓国の立場を配慮しない慎重でない言動だ。

今回の発言は、トランプ氏がメディアを通じて語った程度だ。トランプ氏がひとまず突いてみて、相手の反応によって態度を手の平を返すように変える「予測不可能な交渉家」ということを考えると、騒いだり真剣に構える必要はない。早ければ年末にある防衛費交渉を念頭に置き、負担金を上げようという機先を制するための戦術の可能性もある。トランプ氏は自分の大統領選の過程で在韓米軍駐留費用を韓国が100%負担すべきとし、さらには米軍撤収カードまで持ち出した。

10日後には発足する次期政府は、THAAD費用に対してSOFA規定に基づいて立場を明確に整理し、できることはできるが、できないことはできないと断固対応する必要がある。韓国が中国のTHAAD経済報復で受ける被害が数兆ウォン台に達する可能性があるが、まるで自分たちだけ犠牲になっているかのように請求書を突きつけることは、真の同盟国の指導者の態度ではない。米国の立場で考えれば、THAADは、北朝鮮核より在韓米軍防衛の目的が大きいということを外交ルートを通じてトランプ氏に周知させる必要がある。

大統領選を目前にした敏感な時に韓国政治に大きな波紋を呼ぶ恐れがある発言を簡単にするトランプ氏の無感覚、無神経を指摘せざるをえない。ホワイトハウスに韓国が直面した状況をしっかりと説明する専門家がいないという話にもなる。トランプ氏の就任100日だが、東アジア太平洋次官補と在韓米大使はまだ空席だ。

誰が次期大統領になろうと、北核脅威の対応とトランプ氏との数の争いを同時にしていかなければならない困難な時間を過ごすほかない。与野党の大統領選候補は、口先だけで「自主国防」を叫ぶのではなく、独自に北核衛星を監視する軍事衛星一つない現実を直視し、気を引き締めなければならない。トランプ氏が突然出した請求書が、韓国の安全保障の根幹である韓米同盟もまたタダではないという事実を新たに悟らせる契機になったとならまだ幸いだ。