Go to contents

韓米FTA再検討するという米、政府が油断した隙に来た

韓米FTA再検討するという米、政府が油断した隙に来た

Posted March. 03, 2017 08:24,   

Updated March. 03, 2017 08:25

한국어

米通商代表部(USTR)が韓米自由貿易協定(FTA)再検討の方針を事実上公式化した。USTRは1日(現地時間)に公開した「2017年貿易政策議題」で、「韓米FTAによって米国の対韓貿易赤字が2倍以上増加した。これは米国人が期待した結果ではない」とし、韓米FTAを含む既存の交渉を見直すと明らかにした。産業通商資源部はUSTRが韓米FTA「再協議」を言及したのではないと意味を縮小したが、安易な対応だ。

USTRの貿易政策議題が毎年出てくる例年報告書で、米国が直ちにFTA再協議を要求したわけではないという政府の説明は正しい。しかし、国際経済と通商の分野は政治とは違って大きな声を出すことよりも精巧な分析に基づいて相手の虚を突く戦略が重要だ。336ページにのぼる膨大なUSTR報告書を見れば、米国がFTA再協議要求案に対する検討をすでに終えたと見てこそ正しい。韓米FTAがうまく履行されているという米国側の外交的レトリックに惑わされて韓国政府が再協議の可能性を過小評価しては、今後の交渉で一方的に押されるほかない。

韓国は、FTA再協議そのものによっても打撃を受けるが、再協議を機に米国発の保護貿易主義の否定的影響が世界に広がるという点が憂慮される。グローバルな貿易量が急減すれば、貿易依存度が高く内需市場が小さい韓国は危機の直撃弾を受けるほかない。「貿易政策が米国人のために作動するよう再構成する」というUSTRの政策基調は、自由貿易が米国の中産層の機会になるという前政権の政策を覆すことに相違ない。政治的に脆弱な基盤を通商政策で挽回しようとするトランプ政府が韓国の事情を考慮するはずがない。

トランプ大統領の当選の時から保護貿易主義は予告されていた。韓国は、サービス業に成長動力を育てて労働改革で人的資源の移動を促進すべきだったが期を逸した。政府は公式チャンネルである韓米FTA共同委員会などを通じてFTAの効果を強調しているというが、その程度でトランプ政府の攻撃を防ぐことは難しい。米国が自動車分野などにおける再協議を推進する場合、韓国が要求するカードも用意しておかなければならない。韓国が高高度防衛ミサイル(THAAD)配備の決定で韓米同盟に貢献した点を強調するなど、政治力を総動員する必要もある。