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北朝鮮の「狂気のテロ」から我々は安全なのか

北朝鮮の「狂気のテロ」から我々は安全なのか

Posted February. 16, 2017 08:29,   

Updated February. 16, 2017 08:31

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北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の腹違いの兄の金正男(キム・ジョンナム)氏毒殺事件は、金委員長が執権した時から続いた「スタンディング・オーダー」(命令権者の取り消しがない限り最後まで遂行しなければならない命令)の執行だったと、国家情報院15日、明らかにした。2012年にすでに一度暗殺の動きがあり、金正男氏が「殺さないでくれ」と哀願する書信まで送ったが、この命令は取り消されなかった。今回の事件は「金委員長の偏執狂的性格から始まった」と国家情報院は見ている。金正男氏の毒殺は3代世襲王朝の権力闘争が生んだ海外遠征テロ殺人だ。

今回のテロは、金正恩一派がどれほど狂気じみた野蛮集団であるかを国際社会に再度知らしめた。飢えた人民はゴミをあさるのに、ごく少数の執権層は最高級のシャンパンを飲み、態度が悪いという理由で最高エリートまで高射機関銃で公開処刑する「超リアル社会」北朝鮮の現実を改めて伝える。斬首や火あぶり、水葬などあらゆる野蛮な殺人行為でも足りずメンバーを海外に送ってテロをする「イスラム国」(IS)勢力とどこが違うのか疑問だ。寧ろ自分の犯行だと宣伝するISが堂々としていると言うべきかもしれない。

北朝鮮は今後、今回の事件について沈黙したり言い逃れしたりする可能性が高い。マレーシア国際空港の防犯カメラに映った北朝鮮工作員と推定される女性2人はすでに死亡している可能性もあるという外信報道まであるため、北朝鮮の犯行であるという確証は難しいかもしれない。北朝鮮は、金正男氏の前妻と後妻の2つの家族が北京とマカオにいるにもかかわらず、マレーシア側に遺体の引き渡しを要求する図々しさまで見せている。即時に金正男氏の遺体が北朝鮮側に渡ることがないよう韓国の外交力を結集しなければならない。

北朝鮮は、「悪の枢軸」、「暴政の前哨基地」といった悪名には慣れている。北朝鮮はここに「テロ狂」という烙印を更に加える模様だ。北朝鮮は、大韓航空機爆破事件から20年以上、米国のテロ支援国名簿に上がり、2008年にやっと抜けたが、近く米議会でテロ支援国再指定議論が表面化する可能性が高い。金正男氏とその家族を保護してきた中国も、金委員長の相次ぐ挑発行為をただ庇うことは難しいだろう。金委員長に対する中国側の裏切りがどのような方法で具体化されるか見守る必要がある。

金正男氏毒殺は、韓国の政府要人など社会指導層だけでなく脱北者社会全体に対する公開のテロ脅迫に相違ない。政府は南派工作員に与えられた要人暗殺テロのような「スタンディング・ オーダー」を徹底して封じ込める対テロ対策から再点検しなければならない。政府が、金正男氏が殺害されたことが伝えられた14日夜、国家安全保障会議(NSC)を開く必要はないとし、15日になって会議を開いたことは、事態を安易に見ているのではないかという疑念を生む。国家リーダーシップの空白で不安な国民を一層心配させてはならない。