Go to contents

「政治的内戦」に陥った米国、トランプ流の障を作れば安全になるのか

「政治的内戦」に陥った米国、トランプ流の障を作れば安全になるのか

Posted February. 01, 2017 06:57,   

Updated February. 01, 2017 07:12

한국어

米国のオバマ前大統領が先月30日(現地時間)、緊急声明を出し、「市民が集まって組織的に声を出す憲法的権利を行使したことは、米国の価値が危険に陥っていることを物語る」と警告した。トランプ大統領が先月27日、イラクなど「急進イスラム」テロ危険国家7ヵ国の国民の米国への入国を90日間禁止する反移民行政命令措置を下したことに対して、米国をはじめ世界的に反対の動きに参加したのだ。退任した大統領が、それも退任1ヵ月も経たずに新大統領の政策に反発することはきわめて異例だ。

米国は今、行政命令に対する賛成と反対の勢力が2つに分かれ「政治的内戦」状態だ。権力側核心であるホワイトハウスと国務省から賛否に分かれて衝突する様相を見せている。移民が多いシリコンバレーの巨大情報通信(IT)企業だけでなく、トランプ政府に要職要人を輩出したゴールドマンサックスを含むウォール街の金融会社まで一斉に反対の声を出した。トランプ大統領は、「行政命令の発動を事前予告したなら、悪いやつらが米国に集まっただろう」とし、臆することなく反対の考えを表明した司法長官代理を更迭してしまった。

「米国第一主義」のために保護主義で貿易障壁を設置し始めたトランプ氏は、メキシコとの国境に「物理的障壁」を設置することに続き、移動の自由を制限する「制度的障壁」まで設けた。第2次世界大戦後、米国と欧州が積み上げた自由世界の基本秩序を一日で崩壊させているにもかかわらず、「世界の大統領」の力に押さえられて引きずられている状況だ。調査機関クイニピアクの世論調査の結果、米国人の48%の支持(反対は42%)を受けるポピュリズム政策ということが衝撃的だ。

帝国の力は寛容から生まれる。ローマ帝国が衰退し始めたのは、ローマ市民の安全のために植民地に対する寛容を失ったためだと史家たちは分析した。二重三重の障壁を作ったからと米国が安全になると考えることができない理由だ。徹底した反イスラム主義がさらなるテロを招かないか心配だ。

外国人に門戸を閉ざし秘密監獄と拷問を復活させるトランプ氏の行動は、ドイツでナチスが執権した1930年代を連想させる。「選出された権力」ヒットラーの閉鎖的自国優先主義が第2次大戦を招いた。行政命令署名日が「ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)追悼日」だった。韓国社会も、同志さもなければ敵という2分法で分けるさらなるトランピズム(Trumpism)にはまっているのではないか自省する時だ。