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[社説]安保危機を増大させた政権与党、回顧録波紋に快哉を叫ぶ時か

[社説]安保危機を増大させた政権与党、回顧録波紋に快哉を叫ぶ時か

Posted October. 18, 2016 09:25,   

Updated October. 18, 2016 09:26

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2007年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府が北朝鮮に尋ねて国連北朝鮮人権決議案を棄権したという宋旻淳(ソン・ミンスン)元外交通商部長官の回顧録の波紋について、大統領府の鄭然国(チョン・ヨングク)報道官は17日、「事実なら大変重大かつ深刻な衝撃的なことだ」と述べた。与党セヌリ党はこれを「北朝鮮政権決裁事件」と規定し、「対北朝鮮決裁事件委員会」を通じて来年の大統領選挙まで安全保障を争点とする態勢だ。18日に緊急議員総会を開いて総攻勢をかける方針だ。

回顧録の内容について肯定も否定もしなかった野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表は17日、初めて「覚えていない」と話した。9年前のことなので実際に覚えていないこともあるかもしれない。しかし、政治家は窮地に追い込まれるたびに、「思い出せない」と伝家の宝刀のように言う。文氏は「南北ルートで(北朝鮮の意見を)確認しよう」と言ったという宋元長官の主張を認めれば、セヌリ党の「対北朝鮮決裁」の主張を認めることになり、否定して後で事実が明らかになった場合、「うそつき」と非難されることを懸念したのかもしれない。

側近の金慶洙(キム・ギョンス)議員が「北朝鮮の意見を聞いたのではなく、決定を通知した」と主張したことに対して、文氏が「私は棄権を主張したと思うが・・・」と言ったことを見ると、対北朝鮮人権決議案に賛成しなかったということは否定しないようだ。人権弁護士を自任する文氏が、最悪の暴圧政権の下で苦しむ北朝鮮住民の人権を冷遇したとすれば残念だ。

だからといってミル・Kスポーツ財団疑惑で守勢に追い込まれた与党が局面転換カードをつかんだかのように文氏と「共に民主党」を追い詰めることに拍手を送る国民がどれほどいるだろうか。大韓民国が北朝鮮の「核の人質」となる安保危機に本格的に陥ったのは朴槿恵(パク・クンへ)政府になってからだ。朴大統領は就任直前、北朝鮮が3回目の核実験を強行したにもかかわらず、のんきに「統一大当たり」を叫び、中国の習近平国家主席と共に天安門望楼に上って、4、5回目の核実験を迎えた。16日、北朝鮮の中距離弾道ミサイル「ムスダン」の発射も米軍の通知を受けて知るほど、韓国の安全保障能力は底をついている。17日に予定された大統領主催の首席秘書官会議で対北朝鮮態勢を立てなければならなかったが、突然延期したことも納得できない。

安保危機に加えて経済危機は庶民の暮らしに直結する。にもかかわらず、大統領が柳一鎬(ユ・イルホ)経済副首相ら経済首脳部を呼んで緊急会議をしたという話も聞こえない。国政監査も「回顧録波紋」で新たな与野党対立に入り、所得なく終わるだろう。当初から禹柄宇(ウ・ビョンウ)、チェ・スンシル、チャ・ウンテク氏ら主な証人採択を阻止し、事実上、国政監査を無力化し、大統領府と「大統領府下部機関」と言われる与党だ。回顧録波紋が朴槿恵政府を危機から救う守護神ではないことを手遅れになる前に悟ってもらいたい。



박제균논설위원 パク・ジェギュン論説委員 phark@donga.com