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[社説]フォークロックのボブ・ディラン、ノーベル文学賞の新鮮な衝撃

[社説]フォークロックのボブ・ディラン、ノーベル文学賞の新鮮な衝撃

Posted October. 15, 2016 07:49,   

Updated October. 15, 2016 07:54

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今年のノーベル文学賞は、米国のフォークロック歌手で詩人のボブ・ディラン(75)に与えられた。世界で最も注目されるノーベル文学賞を116年の歴史上初めて大衆歌手が受賞したことで世界が沸き返った。スウェーデン・アカデミーは13日、受賞者の選定理由を「米国音楽の伝統において、新しい詩的表現を創造した」とし、ボブ・ディランの歌を「耳で聞くための詩」と評した。

ボブ・ディランが文学賞候補に時々名前が挙がっていたものの、今回の受賞は文学界で「革命」と評価される。反戦と平和の社会批判メッセージを思惟の深みで表現した彼の音楽は、ベトナム反戦運動が繰り広げられた1960年代と1970年代、若者の精神世界に風のように入り込んだ。代表曲「風に吹かれて」は人権と抵抗運動の象徴的な歌で、韓国の学生運動にも大きな影響を及ぼした。

音楽界に生涯身を置いた歌手に最高権威の文学賞を与えることがノーベル賞の進化なのか変質なのかをめぐって意見が交錯している。一部では、「米国のオバマ大統領にブッシュ前大統領とは異なると2009年にノーベル平和賞を与えて以来、最も信じられないノーベル賞受賞」という嘆きだ。一方、英国小説家のサルマン・ルシディは、「吟遊詩人の伝統を継ぐ偉大な継承者」とし、ノーベル賞の「卓越した選択」と評価した。

スウェーデン・アカデミーは、昨年受賞したノンフィクション作家ベラルーシのスベトラーナ・アレクシェービッチ氏に続き、2年連続で異例のジャンルから受賞者を選定した。ノーベル文学賞が文学の範疇を慣習化された小説と詩に限定するよりも拡張する試みとみえる。純文学と大衆音楽、文学と文学でないもの、2つの境界を分けた硬い壁に亀裂が生じている。ボブ・ディランの受賞は21世紀の文学パラダイムの変化を予告する。



고미석기자 コ・ミソク記者 mskoh119@donga.com