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[社説]北朝鮮の緊急事態に備えるも、性急な判断は禁物だ

[社説]北朝鮮の緊急事態に備えるも、性急な判断は禁物だ

Posted October. 03, 2016 08:20,   

Updated October. 03, 2016 09:08

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朴槿恵(パク・クンへ)大統領が1日、「国軍の日」の記念演説で、「北朝鮮の軍人と住民の皆さん」と指摘し、「いつでも大韓民国の自由な地に来て下さい」と述べた。韓国の最高指導者が事実上脱北を促す発言をしたのは初めて。北朝鮮権力層と住民を分ける北朝鮮政策を公開的に推進するという意志の表現であり、最も強力なレベルの発言だ。

朴大統領はエリート層の脱北や軍人の脱営、略奪も頻繁だとし、韓国軍に対して、「偶発的な状況に対する万全の準備をしなければならない」とも述べた。軍統帥権者として具体的な情報を根拠に北朝鮮住民と軍人に脱北を勧めたのだろう。実際に韓米両国は、北朝鮮の急変事態に対する細部計画を盛り込んだ「作戦計画5029」を作成したという。

一流国家でない北朝鮮がすべての資源を核とミサイル開発に集中させることは、最終的には自滅の道となる。ただ、大統領の発言が北朝鮮の崩壊が差し迫ったと速断するのではないか憂慮される点がなくはない。最近、化汀((ファジョン)平和財団の第14回日中韓シンポジウムに参加したソウル大学の尹永寛(ユン・ヨングァン)名誉教授と中国現代国際関係研究院朝鮮半島研究室の超浦東副研究員は、「北朝鮮が恐怖政治でも大きな動揺は見られない」とし、「性急な北朝鮮崩壊論に基づいた北朝鮮政策は合理性に欠ける」と指摘した。ブルックス在韓米軍司令官も「現在のところ政権崩壊につながるほどの不安定さは感知されない」と指摘した。

米国は、国際社会に北朝鮮と外交・経済関係を断絶するよう迫っているが、北朝鮮と中国は先月30日、平壌(ピョンヤン)と北京で開かれた中国建国67周年記念式典に自国の大使を互いに出席させるほど5回目の核実験後に冷えていた関係を修復しつつある。北朝鮮は来る10日、労働党創建記念日を迎え、さらなる核実験かミサイル発射といった挑発をする可能性があるという観測も流れている。政府と軍は、北朝鮮の緊急事態に備えて、国土防衛と北朝鮮の核への対策を一貫して推進していかなければならない。

大量の脱北が起こる場合、政府省庁と民間団体は、韓国が精神的・物質的に耐えられる準備ができているのかも点検しなければならない。脱北した同胞の処遇や教育、支援、管理体系を予想して、北朝鮮住民に期待と希望を与えることこそ脱北同胞を包摂する有力な手段だ。朴大統領の国軍の日の発言は決して言葉の爆弾のような「宣言」に終わらないよう具体的な実行案を設けなければならない。



허문명논설위원 ホ・ムンミョン論説委員 angelhuh@donga.com