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[社説]地震への恐怖、セウォル号の後も安全コントロールタワーはなかった

[社説]地震への恐怖、セウォル号の後も安全コントロールタワーはなかった

Posted September. 14, 2016 11:38,   

Updated September. 14, 2016 11:47

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一昨日の夜、慶尚北道慶州(キョンサンブクド・キョンジュ)でマグニチュード5.1規模の前震に続いて、史上最大規模と言われているマグニチュード5.8の本震が発生し、マグニチュード3.1や3.2を超える地震を含め、計210回余りの余震が起きた。嶺南(ヨンナム)地域の住民はもとより、大勢の国民が生まれて初めて経験する強力な地震の恐怖や衝撃で避難したり、眠ることができなかった。2014年の旅客船セウォル号の惨事後、災害関連コントロールタワーとして発足した国民安全処はもとより、災害主幹放送会社であるKBSが、自分の役割をきちんと果たせなかったせいといえる。


未曾有の強力な地震を初めて経験する国民は、適切な行動要領を知らずに悲鳴を上げながら、ビルの外側に飛び出して右往左往した。国民安全処の携帯メールは、地震発生から9分が過ぎて、嶺南地域の住民たちに届いた。安全処は、地震発生から26秒後に気象庁から地震通報を受けたものの、緊急災害メールサービスに技術的限界があると言い訳している。アクセスが殺到して、嶺南地域のモバイル電話やカカオトークなどがつながらず、安全処のホームページまでがダウンして、住民たちは情報不在による不安感と戦った。国家災害主幹放送であるKBSは、ドラマを放送しながら3分後になってようやく字幕を流しただけだった。KBSは、地震発生から12分後にニュース特報を流したのは、迅速な対処だったと強弁している。


昨日深夜1時ごろ、高速鉄道(KTX)金泉龜尾(キムチョンクミ)駅周辺の線路でメンテナンス担当協力会社の職員2人が、KTXにひかれて死亡した。普段、この時間帯には走行しないKTXが、地震による徐行で延着したことを知らないまま、メンテナンス作業に取り掛かり、命を落としたのだ。公共機関の間の地震などの災害の事後処理を巡る協力体制に穴が開いたせいだと受け止めなければならない。政府は5月、政府を挙げての地震防災改善対策や国民安全処の地震マニュアルをまとめた。もっともらしいマニュアルは作ったものの、現実では報告用やホームページ作成用に過ぎなかったという批判を言われても、仕方のないことになってしまった。


慶州(キョンジュ)市内に近い月城(ウォルソン)や古里(コリ)には、それぞれ6基の原発が稼働しており、新古里(シンゴリ)原発3~6号機が完成すれば、計16基へと増えることになる。慶州には、中・低レベル放射性廃棄物処理場もある。これらの原発は、マグニチュード6.5の地震にまで耐えられるように耐震設計がなされており、新古里5、6号機は、マグニチュード7.0にも耐えられると言われているが、安心はできない。日本の福島原発事故のように、原発はただの一度の事故で取り返しのつかない惨事を招くことを肝に銘じなければならない。


気象庁の高允和(コ・ユンファ)庁長は昨日、「5.8~6.0前半の地震はいつでも起きる可能性がある」と語り、地震を巡る懸念が完全に消えたわけではない。全国の建築物698万6913棟のうち、6.8%だけが耐震設計がなされていると言われており、マグニチュード6.0台の地震さえ起きれば、大型事故が相次ぐだろう。韓国はもはや地震の安全地帯ではないという考えをもって、社会的インフラを整えていかなければならない。