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過激な労働組合を勢いづけるILO協約批准は慎重に取り扱うべきだ

過激な労働組合を勢いづけるILO協約批准は慎重に取り扱うべきだ

Posted October. 30, 2018 07:51,   

Updated October. 30, 2018 07:51

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韓国経営者総協会と大韓商工会議所が最近、国際労働機関(ILO)の主要協約の完全批准に反対する意見を経済社会労働委員会に提出した。韓国はILOの8の主要協約のうち、結社の自由と団結権・団体交渉協約、強制労働協約、強制労働撤廃協約の4つの協約批准を見合わせている。解雇者までもが労働組合を設立して参加できるようになれば、労組の力はさらに強くなり、政治的な偏りまでひどくなり、産業競争力に悪影響を与えかねないというのが財界の反対理由だ。

ILO主要協約の批准は文在寅(ムン・ジェイン)大統領の公約だ。労働界も早急な批准を促してきた。経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で労組設立に関する協約の2つを批准していない国は韓国と米国だけで、強制労働関連協約のすべてを批准していない国も韓国だけというのがその根拠だ。しかし、ニュージーランドは結社の自由、日本は強制労働撤廃に関する協約を批准していないなど、それぞれの国の事情に合わせて選択的に主要協約の一部だけを批准した国も多い。豪州、メキシコ、カナダなども似通っている。

ILO協約は、批准と共に即時効力を持つだけに、慎重に取り扱わなければならない。法的、制度的整備を抜きにして先に批准に踏み切る場合、ILOの制裁対象になる可能性が高い。まず、ILO協約は、韓国の実定法とも衝突する。労組加入の制限を置かないILO協約と違って、現行法は解雇者と5級以上の公務員の労組加入を禁じている。解雇教員を組合員として抱えている全国教職員労働組合が「法外労組」判定を受けた所以だ。軍服務に代替する社会服務要員も強制労働と規定するILOの基準に合わせると、直ちに社会的混乱は避けられない。

何よりも今が労働界を勢いづけるべき状況なのかということから先に振り返らなければならない。ただでさえ過激な労組は権力を振り回して、会社の事情などものともせず、ストライキに明け暮れながら雇用世襲までやっている。ストを行っても代替労働は禁止する奇形的な労働組合法が労働組合に力をつけた。スト権と同じくらい使用者側の操業権と防御権も保障しなければならない。米国や日本などでは、通常3~5年ごとに行う団体協約を、韓国では2年に一度やっている。ILO協約批准に先立って、労使間の力のバランスから先に取ることを望むという財界の主張に耳を傾ける必要がある。