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北朝鮮、板門店宣言を掲げて韓米の先端偵察戦力の無力化を狙う

北朝鮮、板門店宣言を掲げて韓米の先端偵察戦力の無力化を狙う

Posted June. 23, 2018 08:45,   

Updated June. 23, 2018 08:45

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北朝鮮が14日の南北将官級会談で、軍事境界線(MDL)の両側60キロ以内では偵察機の飛行など相手側への偵察活動をやめることを提案したことが分かった。軍事境界線の両側40キロ以内では軍用機の飛行をやめるという提案もしたという。最前方地域の軍事的緊張緩和に向けた平和の提案のようにも見えるが、実状を見ると平和ムードを利用して偵察能力の劣勢を挽回し、韓米防衛戦力を弱体化させるという策略だ。

偵察能力は、南北間の軍事的対峙状況で韓国側が絶対的優位に立っている非対称戦力だ。北朝鮮は、軍事境界線付近とその上40~90キロ以内に長射程砲やミサイル、兵力などをきめこまかく配備し、米軍の高高度無人偵察機(UAV)グローバルホークをはじめU2S偵察機、韓国軍のRF16偵察機、軍団級UAVなどの偵察監視戦力が北朝鮮軍の一挙手一投足を監視している。一方、北朝鮮は作戦能力を備えた偵察機など偵察資産がほとんどない。軍事境界線付近の作戦を遂行する最新鋭戦闘機もない。もし軍事境界線付近に飛行・偵察禁止区域が設定されれば、北朝鮮は譲歩することもなく韓米軍の偵察戦力を取り払い、「目」と「耳」を塞ぐ効果を得ることになる。

北朝鮮の提案は、4・27板門店(パンムンジョム)宣言に含まれた「敵対行為の中止」と「非武装地帯の平和地帯化」の実践案のように繕われている。今後も軍事境界線の緊張緩和を理由に同様の提案を続ける可能性が高い。冷戦解体期の北大西洋条約機構とワルシャワ条約機構間の軍縮モデルのように、軍事的対立の密度が高い地域から兵器と兵力を取り除く方式を軍事境界線にも援用しようと主張することが予想される。これに対して、韓国の一部左派陣営も共感する可能性がある。

しかし、軍事境界線の対立状況は、過去の欧州などの東西対立地域とは厳格に異なる。板門店~平壌(ピョンヤン)は215キロだが、板門店~ソウルはわずか62キロだ。北朝鮮は軍事境界線からで平壌~元山(ウォンサン)ラインの間にすべての兵器・兵力の70%以上を集中させている。最前方の一部戦力を縮小してもソウルなど首都圏を奇襲攻撃するのに特に支障はない。一方、韓国は最前方の戦力が縮小すれば、北朝鮮の奇襲攻撃の戦力を先制的に壊滅し、首都圏を防衛する能力に甚大なダメージを受けることになる。

軍事境界線地域の緊張緩和は長期的に必ずなされなければならない。しかし、その第一歩は北朝鮮の韓国首都圏の奇襲攻撃の戦力を後方に回すことから始まらなければならない。特に、首都圏の2500万人の命と財産を人質に取っている長射程砲は、北朝鮮がいかなる論理でも防衛用だと主張できないだろう。北朝鮮が「目の上のこぶ」のように考える韓米偵察戦力をはじめ軍事境界線地域の韓米の戦力は基本的に防衛用だ。防衛戦力は攻撃戦力と同時に減らしていくのではなく、攻撃戦力の実質的な退去後に縮小されなければならない。北朝鮮が板門店宣言を掲げて軍事的利益を得ようとする古い戦術的思考を捨てなければ、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の真正性そのものが疑いを受けざるを得ない。