Go to contents

文正仁氏の「在韓米軍撤退論」に警告した大統領府、警告で済むことではない

文正仁氏の「在韓米軍撤退論」に警告した大統領府、警告で済むことではない

Posted May. 03, 2018 08:18,   

Updated May. 03, 2018 08:18

한국어

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は2日、「在韓米軍は韓米同盟の問題」とし、「平和協定の締結とは何の関係もない」と強調した。文正仁(ムン・ジョンイン)統一外交安保特別補佐役が米外交専門紙「フォーリン・アフェアーズ」への寄稿文で、「平和協定が署名されれば、韓半島で在韓米軍の駐留を正当化することは難しいだろう」と主張したことに対して野党が大いに反発して議論になったため、火消しに乗り出した。大統領府は、「任鍾晳(イム・ジョンソク)秘書室長が文氏に電話をかけ、大統領の立場と混乱が生じないようにしてほしいと話した」と明らかにした。しかし、このような形で伏せてやり過ごす事案ではない。

文氏が、韓米同盟と国家安保事案に対して韓国社会の合意と原則から外れた発言をしたことは今回が初めてではない。その度に大統領府は、「個人の意見」と線を引いたが、時間が経つと、政府政策が文氏の発言と非常に似た方向で展開したりもした。むろん、在韓米軍撤退論は、国民大多数の批判を受ける可能性が高い急進的左派グループの主張という点で、大統領府は今後も線を引くものと見られる。そうした点をよく知る文氏がこの時にそのような主張をしたことは、同様の主張が繰り返されて出る場合、「在韓米軍撤収否定論」が少しずつ動いて、数年後には米軍撤退論が正式議題になるという計算でアドバルーンを上げたのではないかと言う疑念を抱かせる。

文氏は、「在韓米軍の縮小や撤収に保守野党勢力が反対するため、文大統領に重大な政治的ジレンマになるだろう」と発言したが、米軍撤収は野党が反対するためにできず、世論調査で賛成が多ければできるといった事案ではない。大統領府も2日に明らかにしたように、在韓米軍は北朝鮮の挑発を抑止する役割のほかにも、軍事大国である中国や日本などが共存する北東アジアで力のバランサーの役割をしている。金正日(キム・ジョンイル)総書記も2000年の南北首脳会談の時、米軍の継続駐留に同意し、金正恩氏も米軍撤収を要求していない。

米国内では海外の大規模な地上軍駐留に対する懐疑論が数年前から起こっている。特に、トランプ氏は経済的損益の観点で在韓米軍を貿易交渉カードで考える発想を表わした。米朝首脳会談など韓半島の命運を左右する交渉と談判が進んでいる状況で、大統領特別補佐役が米軍撤退論を取り上げることは国益を考えない自害行為だ。

 

文氏は昨年6月、「高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)が解決されずに壊れるなら、それは何の同盟か」という発言で、大統領府の警告を受けたが、「突発的主張」を繰り返してきた。それを教授の私見として受け入れる人は多くない。フォーリン・アフェアーズは寄稿者を「大統領外交安保特別補佐役兼延世(ヨンセ)大学名誉特任教授」と紹介した。大統領府は2日、「(文氏の)辞任は考えていないと明らかにした。文大統領が在韓米軍駐留の必要性に確固たる哲学と意志を持っているなら、警告で済むことではない。