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世界貿易秩序を崩壊させるトランプ発「通商戦争」

世界貿易秩序を崩壊させるトランプ発「通商戦争」

Posted March. 03, 2018 09:39,   

Updated March. 03, 2018 09:39

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トランプ米大統領が1日(現地時間)、米国の鉄鋼・アルミニウム業界最高経営責任者(CEO)が集まった席で、「鉄鋼輸入品に対し25%、アルミニウム製品には10%の関税を長期間課す」と明らかにした。今回の案は、米商務省が国家安全保障を侵害する輸入品を規制できる『米通商拡大法232条』を根拠に提示した3つ勧告案のうち「すべての鉄鋼輸入品に24%、アルミニウム製品に7.7%の関税一括適用」案をトランプ氏が選んで関税率を上げたものだ。まだ最終案ではないが、韓国など特定国家12ヵ国を対象に53%の高率関税を適用する最悪のシナリオは避けられた。

トランプ氏の今回の発表は、単に自国の産業保護を越え、全世界を相手に通商戦争を宣言するものだ。

中国だけでなく米国の代表的な友好国である日本とカナダも反発しており、国家間の貿易報復の悪循環を招くことになりかねない。早くも欧州委員会のセシリア・マルムストロム委員(通商担当)は、英紙フィナンシャル・タイムズとのインタビューで、「(米国製)鉄鋼とアルミニウムの輸入品に対してセーフガード(緊急輸入制限措置)を発動する可能性が高い」と強調した。

トランプ政権が国家安全保障の脅威を根拠に輸入を規制したことはさらに憂慮される。世界貿易機関(WTO)は、戦争や国家的脅威を理由に関税を課すことを許容している。しかし、米国をはじめ他の国々は恣意的な貿易障壁をつくることができるという懸念から活用されることはなかった。米国の通商拡大232条も、1962年に旧ソ連など共産圏を狙って作った輸入制限規定だが、米国は自由貿易秩序を尊重して事実上、適用しなかった。しかし、トランプ氏がこの規定を根拠に関税を課すことで、他の国々も恣意的な判断によっていわゆる「安保関税」で貿易障壁を容易に作ることができる。国際社会が数十年にわたって作り上げた自由貿易の秩序が根元から揺らぐことになった。

自国産業の保護のためのトランプ氏の今回の措置は、米国内でも保守・進歩を問わず批判を受けている。保守系のウォール・ストリート・ジャーナルは、「今回の措置がトランプ大統領の任期中、最大の政策失敗になると警告した。ワシントン・ポストも、鉄鋼・アルミニウム生産業界で生まれる雇用増加が別の産業の雇用減少で相殺されると憂慮した。今回の措置で米国の成長率が今年0.2ポイント下がるという見通しも出ており、ニューヨーク証券市場は今回の発表後1.68%下落した。世界6位の輸出大国である韓国は、グローバル通商戦争の被害国にならざるを得ない。通商当局は韓国の最大貿易国である米中はもとより各国の保護貿易の動きをリアルタイムでチェックし、世界貿易の取引が急減する最悪の状況にまで備えなければならない。