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「金英哲」で分断した南・南、そして韓米

「金英哲」で分断した南・南、そして韓米

Posted February. 24, 2018 09:15,   

Updated February. 24, 2018 09:15

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北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長の平昌(ピョンチャン)冬季五輪の閉会式訪問をめぐって憂慮していたことが国内外で起こっている。最大野党「自由韓国党」と新党「正しい未来党」は23日、政府の金英哲氏に対する訪韓許可を撤回するよう求めた。「自由韓国党」の議員たちは、大統領府前に集まり、哨戒艦「天安(チョンアン)」沈没の主犯、金英哲氏は軍事法廷に立たせなければならない」と抗議した。大統領府の国民請願掲示板には、金英哲氏拒否請願が殺到した。米国も不快感を示した。国務省報道官は、「(天安艦)記念館に行って自分に責任があるとされることを見る機会を持つことを望む」と強調した。天安艦記念館は、北朝鮮の挑発で破壊された哨戒艦「天安」の船体が展示されている。

金英哲氏の訪韓をめぐる韓国社会内部の深刻な葛藤は予想されたことだ。40人を超える韓国軍将兵の命を奪った対南挑発の責任者を代表団長として派遣するという金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の策略にのせられた格好だ。にもかかわらず韓国政府は、北朝鮮から金英哲氏派遣の通知が来るやいなや即時に受け入れた。統一部は23日、説明資料まで出し、哨戒艦「天安」沈没は北朝鮮の犯行であり、金英哲氏が当時偵察総局長だったことは事実でも、具体的な関係者と特定するには限界があると説明に汲々とした。国民の反対世論にもかかわらず、「韓半島平和定着という大乗的見地で理解することを期待する」とも述べた。誰が訪問しようが南北雪解けムードを続けさえすれば、感謝するという態度だ。

さらに韓米間の亀裂も避けられそうにない。米国が金英哲氏に対して、「天安艦記念館に行ってみろ」と冷めた反応だったのは、韓国政府に対する迂迴的だが露骨な不満の表れだ。米国の対北朝鮮制裁の対象である金英哲氏に対して一時的な制裁例外措置を認めてほしいという韓国の要請を拒否することは難しいが、韓国の振る舞いが理解できないということだ。北朝鮮に対する最大の圧力基調の士気を殺ぐのではないかという疑惑のまなざしも感じられる。トランプ大統領は一両日中に強力な追加制裁を直接発表するという。五輪開会式に出席するために訪韓して天安艦記念館を訪れたペンス米副大統領は、金正恩一家を「邪悪な一族」と批判した。韓国が「客人」と迎えた金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長に対しても「抑圧的な体制の中心人物」と規定した。

このような葛藤と亀裂にもかかわらず、政府は金英哲氏の訪韓を受け入れる方針を変える考えはないようだ。政府は、金英哲氏が南北関係を総括する統一戦線部長を務めているため、交渉のカウンターパートという現実を考慮してほしいと、米朝対話の進展のためにも避けられないと強調する。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が金与正氏に「南北関係の発展は米朝対話が並行しなければならない」というメッセージを伝えたことに対する金正恩氏の返事を持ってくると期待している。反発世論を意識して、文氏と金英哲氏の面会の場所を大統領府ではなく外部で検討するなど「歓待」と映らないようにするという。

しかし、金英哲氏がどんなメッセージを持って来ようと、それよりも重要なことは北朝鮮を扱う韓国政府の姿勢だ。北朝鮮が望むことをすべて聞き入れて言いなりになる態度を見せるなら、たとえ北朝鮮を追加の南北接触や米朝対話の場に呼び出すとしても、非核化の探り合いから特に力を使うことはできないだろう。北朝鮮に問うべきことは問い、要求することは要求しなければならない。そうでなければ金正恩氏の非核化決断はさておき、韓国社会と韓米の亀裂を加速させるだけだ。早くも平昌後が心配だ。