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[社説]少子化対策、子育て支援より「赤ちゃんは国が育てる」という発想を

[社説]少子化対策、子育て支援より「赤ちゃんは国が育てる」という発想を

Posted December. 27, 2017 09:26,   

Updated December. 27, 2017 09:39

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文在寅(ムン・ジェイン)大統領は昨日、大統領直属の少子高齢社会委員会で、「今こそ深刻な人口危機を解決できる最後のゴールデンタイムだ」と述べ、結婚、出産、育児が女性を抑圧しないようにするのが最も重要だと明らかにした。これを受け、少子化委は、父親が母親と一緒に子育てに参加する「平等育児」と社会的ケア機能を強化して、仕事と生活のバランスの取れる措置を強化することにした。政府の少子化対策が、出生率向上などの数値中心政策から「一人で子育てをする」という負担を抱えてきた女性の生活を支援する方向に切り替えるものと見られる。

政府は2006年から少子高齢化問題を認識して、政府主導の対策作りを始めたが、11年が過ぎた今の出産成績表は、世界225カ国中の219位。3度にわたる少子高齢社会基本計画で200兆ウォンにのぼる予算を注ぎ込んでも成果を出せなかったのは、政策が多岐にわたっていたうえ、実行意志も足りなかったためだ。昨日少子化委が、政府政策は「自分とは関係のないことだ」という認識が広まっていると見たことも、これまでの政策は巨額をつぎ込んだのに、現実とかけ離れたことに遅ればせながら気づいたためだろう。

韓国の女性1人が生涯にわたって産む子どもの数である合計出生率は、昨年にすでに世界最低水準だったが、今年は1.06〜1.07人とさらに下がる可能性が高い。このような状況で、文大統領が女性生活を強調したのは、出産・子育て費用を支援する形の少子化対策は全く功を奏していないだけに、パラダイムの転換が必要だと強調したのである。

このような認識の転換は新しいものではない。過去の政府の少子化克服対策の中心も、育児休業の活性化と保育サービスの拡大、育児休業制度の死角地帯解消を通じた仕事と家庭の両立政策だった。しかし、職場の女性が育児休業を使うためには、上司の機嫌を窺わなければならない企業文化の中、政府政策と現場の苦労がかけ離れていたのが育児休職の実態だ。このような現場を知らない公務員たちが机上でほぼ同じ対策を包装だけを変えて出すなら、またもや時間と財政を無駄にする過ちを繰り返さざるを得ない。

女性の「一人での子育て」を防ぐためには、企業の責任者らが自分の娘と嫁の立場で、この問題を眺めるように文化を変えなければならない。政府は、子育てを支援するというレベルではなく、「赤ちゃんは国が育てる」という発想転換をして政策をまとめなければならない。日本も、1989年に合計特殊出生率1.57人のショックを経験した後、エンジェルプラン、新エンゼルプラン、少子化プラスワン対策など、仕事と育児を並行する政策を次々と打ち出したが、まだ成果を出せずにいる。今、日本は生産可能人口1億人のレベルを維持するという意志を込めた「1億総活躍プラン」で、少子化の危機脱出に挑戦している。韓国は現在、3700万人ぐらいの生産可能人口を引き上げる「4000万総活躍プラン」でも出さなければならない状況である。