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国民年金を通じて民間企業を操縦すれば社会主義ではないか

国民年金を通じて民間企業を操縦すれば社会主義ではないか

Posted November. 28, 2017 08:54,   

Updated November. 28, 2017 09:49

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国民の老後の資金600兆ウォンを運用する国民年金が、政府の方針によって株主権を行使する動きを見せ、官治の手段に転落するという懸念が大きくなっている。国民年金は今月20日、KB金融持株の株主総会で、大統領の公約である労働理事に賛成票を投じたのに続き、来年1月には企業の意思決定に参加する議決権行使の指針である「スチュワードシップ・コード」を導入する予定だ。政治的外圧に揺れる意思決定構造を放置したまま推進される国民年金の議決権の拡大は、年金加入者や株主の利益を冷遇した政権とのコード合わせになる可能性が高い。

 

年金基金が議決権を行使すれば、企業の経営透明性と企業価値を高めることに貢献できる。しかし、現在の国民年金の支配構造は政治論理に左右されかねない脆弱な構造だ。保健福祉部長官が国民年金公団理事長を任命し、企画財政部が国民年金の経営を毎年評価する現行の構造で、加入者の利益を最優先にする議決権の行使は難しい。基金運用本部が福祉部に従属しており、投資決定が政治・社会的意図に従属してはならないという「信認義務」を保障する人もいない。これまで国民年金が議決権を積極的に行使できなかった根本的な限界があったわけだ。

慎重な投資を担保することが困難な状況で、スチュワードシップ・コードを性急に導入すれば、政府の望むどおりに主要企業の経営を思うままにできることになる。国民年金は275の上場企業の持分を保有しており、三星(サムソン)電子やポスコなど韓国の代表企業の最大株主の座を奪うマンモス級の機関(基幹)投資家だ。労働理事1、2人が民間企業の理事会に進出し、中小規模機関の投資家が証券市場の有力機関投資家の動きに同調し始めれば、企業は政府の顔色をうかがうことになるだろう。この過程で、与党「共に民主党」議員だったキム・ヨンジュ国民年金理事長は、「コード官冶」を実行に移す窓口になる恐れがある。

ただでさえ労働理事制の導入が文在寅(ムン・ジェイン)大統領の大統領選公約なので、与党は公共機関の労働理事導入を推進する方法を制定しようとしている。労働理事制は今年、ソウル市を皮切りに公共機関に続いて民間の金融機関、さらには民間企業にまで広がる兆しを見せている。国民年金が強大な議決権で民間企業に労働理事を植えつけて経営まで思うままにするなら、民間企業の政府の影響よって動く社会主義ではなくて何だろうか。

しかも国民年金の資金で国政課題を推進することは、国民の老後の資金を侵食する危険な発想だ。すでに政府は、長期賃貸住宅の建設や保育施設の拡大、療養事業などに国民年金の財源を使うために方法を模索している。国民年金も公益事業に投資できるが、財政の安定を脅かしてはならないという前提条件が法に明示されている。昨年の国民年金の収益率は4.8%で、米カリフォルニアの公務員年金やカナダの公的年金の半分にも及ばない。2060年には基金が枯渇する状況で、収益率より公益性を優先にする投資は2200万の加入者の反発に直面するだろう。