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国の役割を強調した大統領、過去の積弊から雇用の未来に

国の役割を強調した大統領、過去の積弊から雇用の未来に

Posted November. 02, 2017 09:54,   

Updated November. 02, 2017 10:58

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文在寅(ムン・ジェイン)大統領が1日、429兆ウォン規模の来年度予算案の可決に向けた国会施政演説で、国家の役割を強調し、人中心の経済、積弊清算、韓半島の平和定着を国政目標に掲げた。1997年の国際通貨基金(IMF)外国為替危機での大量の失業事態で、中産層が崩壊した現実で、個人ではなく国家が出て経済、社会、国家革新を主導するということだ。演説で文氏は、「国民」という単語を70回言及し、「経済」(39回)、「国家」(25回)、「国」(14回)を言及し、国民のための国家の義務を強調した。積弊清算は一回言及しただけだった。

 

この20年間、国民は無限競争に追いやられ、失敗を受け継がないよう子供の教育に没頭し、失敗が容認されない構造で譲歩と妥協を忘れて暮らしてきたという大統領の指摘は的実だ。IMF後、韓国社会が経験した二極化によって成長と統合が遮られて、古い秩序と慣行のために挫折し、不当な権力に踏みにじられた後遺症を集約したのだ。今やこのような問題を改善し、未来に進もうというメッセージの響きは決して小さくない。国民が成長の果実を体感できるよう革新的な経済政策を推進し、検察改革などを通じて不正腐敗を清算することに国家力を集中しなければならない。

今回の施政演説で文氏は、財閥大企業中心の経済を人中心の経済に変えると宣言した。このようなパラダイム転換がなくては、経済の外形が大きくなっても成長の果実が国民にわたらない不合理な現実を突破することはできない。大統領は、雇用および所得主導の成長、革新成長、公正経済という3軸で、世界が悩む低成長、二極化問題に解答を提示できると自信を示した。

累積した経済問題を解決しようという大義に反対する者はいないだろう。しかし、政府が経済的自由放任の弊害を露呈した新自由主義に対する反発で国家の介入を拡大しようとするなら、自由と競争を傷つける恐れがある。韓国は、新自由主義が問題ではなく、むしろ自由な市場経済を実践できないことが問題だ。韓国経済が体験している二極化は、市場に全てを任せたためというよりも、官僚支配の金融、政経癒着で市場経済の機能が誤作動を起こしたことによる。大きな政府の役割はこのような市場の失敗を補完することでなければならない。人中心の経済を推進する手段である所得主導成長は、家計所得を増やし、内需を活性化させ、企業投資につながる好循環を作るという初の実験だ。しかし、このような構想は外国と貿易がない閉鎖経済でも可能だ。

今回の予算案は、単に分野別の財源配分ではなく、議論になる政策とかみ合っている。法人税引上げは、消費者と労働者の負担に転嫁される余地があり、最低賃金引き上げは雇用の量と直結した問題だ。公務員の増員と各種手当ての拡大などで国家債務が天文学的に増えるという憂慮も大きい。国会は予算案審議の過程で、それぞれの争点を徹底的に検証しなければならない。新しいスタートラインに立った経済が十分に回っていくには速度調節が必要だ。