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私たちは「その日」に備えているのか

Posted October. 11, 2017 09:37,   

Updated October. 11, 2017 09:40

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今、韓半島付近の海域に、米国の軍事力の象徴である原子力空母2隻の打撃群が向かっている。6日にサンディエゴの母港を出発して今月末頃に到着するニミッツ級「セオドア・ルーズベルト」と日本の横須賀が母港の「ロナルド・レーガン」だ。2つの空母の戦力はそれぞれ、中小国家の海・空軍力全体に匹敵する。一部の専門家は、北朝鮮に対する攻撃準備のためという見方まで出している。

秋夕(チュソク、陰暦8月15日)連休期間、国民が気になる話題は断然「戦争が起きるのか」ということだった。67年前の韓国戦争は、ソ連の支援を受けた北朝鮮の韓国への侵略で始まった。しかし、韓半島で2度目の戦争が起きるなら、大陸間弾道ミサイル(ICBM)に水素弾の弾頭まで装着しようとする北朝鮮の妄動とこれに報復しようとする米国の強大な戦力との間に火花が散って起こる可能性がある。戦争はあってはならない。しかし、いかなる不測の事態にも備えなければならない。不意に戦争が起こる場合、韓国の民官軍は果たして対応する態勢ができているのだろうか。

戦争が起これば、大統領は直ちに非常戒厳を宣言することになる。大統領が任命した戒厳司令官は、全国の行政・司法業務を掌握することになる。独裁政権時代、政治的な理由で戒厳を実施した例があるが、戦時非常戒厳は次元が異なる。綿密なシナリオと段階別ロードマップを事前に点検しておく必要がある。治安をはじめとする全権は戒厳当局の所管であっても、日常の治安は警察の責務だ。戦時には略奪や凶悪犯罪が猛威を振るう可能性が高い。戒厳軍と歩調を合わせて犯罪予防と秩序維持に効率的に備えるシステムを稼動しなければならない。

歴代政府は、戦時状況などに備えた国家危機管理組織の廃止と復元、縮小と拡大を繰り返した。そのためコントロールタワーの機能は不十分だ。全国1万8871の民防空避難所のうち戦時用の非常食料や医療装備を完備したところはほとんどない。6456ヵ所は核どころか通常の爆弾にも耐えることができないほど不十分なことこの上ない。一日も早く各省庁に分散した非常事態の民防衛組織と地方自治体システムを整備し、態勢を整える必要がある。

惰性に慣れた民防衛体系も見直さなければならない。20分間の訓練を我慢できずに不平を言う市民が多い。行政安全部関係者が「車両の通行を中断したいが、激しい不満の声に耐える自信がない」と嘆くほどだ。北朝鮮が長距離砲や核を発射しても、いち早く警報を鳴ならして速かに避難するなら、被害を最小限に抑えることができる。防災グッズではなく、安全不感症から目覚めた成熟した市民意識が生きるか死ぬかの鍵だ。

戦争の帰結は北朝鮮の壊滅になるほかない。しかし、関連省庁が、北朝鮮の崩壊時の脱北難民の対策を綿密に立てているのか疑問だ。直ちに難民を米国やオーストラリアなどの国に分散するには、北朝鮮人権法など法体系の整備とともに国境の閉鎖などの対策を立てなければならない。隣国中国と日本は昨年、3回目の核実験の前後に北朝鮮の崩壊に備えた難民非常対策を立てた。

戦争勃発で韓国の総生産(GDP)の半分、全世界GDP1%の7000億ドルが消え、韓国の情報技術(IT)産業基盤が崩壊すれば、そのドミノで世界経済が恐慌に直面する憂慮まで出ている。戦後の再建には米国のGDPの半分である10兆億ドル前後が必要とされるという。戦争が起これば、主力産業である半導体産業の復旧に約2年かかるという分析もある。その他の産業も同様の状況だ。綿密な再建の青写真やシナリオを準備することが切実だ。

憲法は、大統領に大韓民国の国土守護と平和、安全を至上義務と規定している。軍統帥権者である文在寅(ムン・ジェイン)大統領から決然たる意志を明らかにし、軍と公職者に隙のない備えを注文しなければならない。民官軍が一つに結束して力を合わせて勝ち抜けると信じる時、戦争を防いで平和を守ることができる。