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楊正哲の忘れられる権利

Posted May. 17, 2017 08:41,   

Updated May. 17, 2017 08:42

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「本当にありがたい人だ。参加型政府と盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領を守ってくれた戦士だった。守旧的メディアから盧大統領の次に多くの攻撃を受けた」。2012年1月、「盧武鉉の人たち、李明博の人たち」出版記念会に参加した文在寅(ムン・ジェイン)氏は著者の楊正哲(ヤン・ジョンチョル)氏をこう紹介した。文氏は、「私に本を書かせ、私の背中を押して政界に向かわせた。私が書いた『運命』という本がベストセラーになって政治的にも注目を浴びるようになった」として楊氏にお世話になったと話した。

◆盧武鉉政権の大統領府において楊氏ほど論争的な人物もいなかった。言論労報記者出身の楊氏は、政権5年間、大統領府広報首席室秘書官としてメディアとの戦争で先頭に立った。任期後半には取材支援システムの先進化を名目に、記者室の閉鎖を主導した。本人の否定にも関わらず、人事請託を拒否した劉震龍(ユ・ジンリョン)当時文化部次官に「腹を割ってあげましょう」と言ったことは伝説となって人口に膾炙されている。2008年の言論弾圧白書を発刊した韓国新聞放送編集人協会は、楊氏のことを「記者室閉鎖5人衆」の一人として記録した。

◆2009年の盧武鉉氏の死去後、盧武鉉財団の初代事処長などを務めた楊氏は2012年、文在寅氏を大統領に担ぎ上げようと動き出した時から文氏の腹心になった。文大統領が非公式の場ではため口を利くほど親しい。その楊氏が一昨日の夜、フェイスブックに「これからは忘れられる権利を認めてほしい」と書き、政界からの退場を宣言した。当面、ニュージーランドに渡り、新しくスタートする文在寅政権に負担をかけたくないという。

◆オバマ米元大統領は、長年の友人である「シカゴ師団」のバレリー・シャレット・シカゴ市長次席補佐官をホワイトハウスの上級顧問に任命し8年間、主要決定について議論した。トランプ大統領も娘婿のジャレッド・クシュナーを大統領上級顧問に起用し、実力者とは言われても非公式ブレーンと批判される余地を封じ込めた。前面に出ると「覇権」、退くと「非公式ブレーン」と批判されたと言う楊氏の「忘れられる権利」は文在寅政権5年間、有効でなければならない。仮にも、非公式ブレーンを取り巻く話がじわじわと持ち上がる場合、楊氏にとっても文政権にとっても不幸なことになりかねない。