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セウォル号引き揚げ…「子供に先立たれる悲しみ」を越えて

セウォル号引き揚げ…「子供に先立たれる悲しみ」を越えて

Posted March. 24, 2017 08:48,   

Updated March. 24, 2017 08:48

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セウォル号が沈没してから約3年が経つ23日、船体が惨たらしい姿を現した。2014年4月16日朝、セウォル号が全羅南道珍島郡(チョルラナムド・チンドグン)の孟骨(メンゴル)水道に沈没し、乗客476人のうち304人が死亡した大惨事が発生して1072日ぶりだ。引き揚げを推進してきた海洋水産部は、海面上に引き揚げたセウォル号をバージ船2隻にワイヤーで縛る固縛作業を終えた後、1.7キロメートル離れた所に待機している半潜水式船舶に運ぶ作業を3日間で実施する計画だ。そして、4月5日頃、107キロメートル離れた木浦(モクポ)新港に運び、船体や行方不明者9人の捜索、事故原因の調査などを行う。

3年前、わくわくした気持ちで済州島(チェジュド)に修学旅行に行った安山(アンサン)の檀園(ダンウォン)高校2年生250人は、若くして冷たい遺体となった。孟骨水道の荒波は、17歳の幼い魂を漆黒のようにまっ暗な珍道の海に引き込んだ。生徒たちは「動くな」という大人たちの言葉を聞いて船内から抜け出すことができず、惨事に遭った。3年間、珍道彭木(ペンモク)港を離れることができず、亡くした家族を探してきた行方不明者の家族の念願どおり、引き揚げられた船体から行方不明者が皆発見されることを望む。

惨たらしい姿を見せた船体は、子供に先立たれ、耐えていかなければならない遺族の悲しみはもとより政府の無能さと指導者の不誠実、大人たちの貪欲さと安全不感症、事後対策をめぐる国論分裂と政界の利己主義、何より歳月が流れても忘れられない幼い犠牲・・・。そのすべての象徴だ。セウォル号の引き揚げで一段落つけて前に進まなければならないが、決して忘れてはならない国家的傷跡だ。

引き揚げられたセウォル号は再び問う。国家とは何か。セウォル号事故直後、朴槿恵(パク・クンへ)前大統領は公職社会の積弊除去に向けて「官フィア(官僚+マフィア)」の不正の輪を断ち切ると言った。しかし、結局は自分が政経癒着を主導して大統領を罷免された。大統領の罷免を決定した憲法裁判所は、大統領の「空白の7時間」は弾劾事由に該当しないとしながらも、国民の生命と安全を保護しなければならない大統領が憲法と国家公務員法上の誠実義務を違反したと指摘した。また、事故当時、現場に到着した海洋警察123艇など救助隊が乗客に退船案内を迅速にしたなら多くの乗客を救助できたと、憲法裁は判断した。

国民の生命権を守ることができない政府を国民は信頼できない。2014年11月、「体系的な災難安全管理システムの構築」を大義名分に国民安全処をスタートさせたが、大型の安全事故は減っていない。検警合同捜査本部が、セウォル号沈没の原因を船舶の増築による復元性の不足と貨物固定束縛の不良と明らかにしたが、国家情報院介入説や米軍潜水艦衝突説など陰謀説が流れたことは、国家に対する不信のせいもある。引き揚げられた船体の科学的調査で、これ以上根拠のない怪談が入り込まないようにしなければならない。

 

23日、「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表は、「次期政権が発足すれば、第2期特別調査委員会を構成し、引き揚げが遅れた経緯を究明する」と述べた。しかし、第1期特調委が政治的偏向により異常な状況で再び特調委を作れば、傷を癒すよりも葛藤と反目を煽ることが懸念されている。大統領選を控え、政界がこの不幸な事故の傷を再び掘り返して怒りを煽り政治的な扇動をしてはならない。今は国家的悲しみから立ち上がらなければならない時だ。