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ハリウッド版ブラックリスト

Posted March. 21, 2017 08:28,   

Updated March. 21, 2017 08:28

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20世紀の音楽の革新をもたらした作曲家アルノルト・シェーンベルクはユダヤ人で、ドイツで活動した。シェーンベルクは1933年にヒットラーが政権を握るや、迫害を避けて米国行きを選んだ。当時はユダヤ人だけでなく左派芸術家も弾圧を受けた。ナチス政権は、マルクス主義に傾倒した劇作家ベルトルト・ブレヒトをブラックリストに載せて本をすべて燃やした。国外をさまよったブレヒトは1941年に米国に亡命した。ところが今度はハリウッドでマッカーシズムの強風が吹き、ブレヒトは再びブラックリストに載る。

◆「文化系ブラックリスト」波紋でしばらく弾劾政局が沸きかえった。趙允旋(チョ・ユンソン)前文化体育観光部長官の拘束理由も、政府に批判的な文化芸術家に対して支援から排除するリストを作成した疑惑に関与したためだ。最近、米国では「ハリウッド版ブラックリスト」疑惑が起こった。映画俳優のティム・アレンがあるトークショーで、「ハリウッドで共和党支持者は1930年代のナチス統治下で生きているようだ」と嘆いた。

◆憎めば互いに似てくるのか。ティム・アレンは、ハリウッド文化権力である進歩陣営を狙って自分と考えが違う芸能人を排斥する「非寛容的エリート主義」と厳しく批判した。口を開けば社会的弱者に配慮しないとトランプ大統領を批判する人が、いざ自分たちは権力を振り回して「ハリウッドの少数派」を圧迫する偽善的な振る舞いをしているという指摘だ。実際にロサンゼルス・タイムズによると、ハリウッドで活動する保守指向の約2500人の芸能人は、トランプ政府発足後「共和党支持」の烙印が押され、配役や出演機会で不利益を受けている。

◆朴槿恵(パク・クンへ)政府の文化系ブラックリストと米国のハリウッド版ブラックリストには共通点がある。「ブラックリスト」は理念の問題ではなく力の論理ということだ。それなら、次期政府では「ブラックリスト学習効果」を基に隠密なブラックリストで文化系を掌握して揺さぶるのではないか心配だ。権力への服従を強要しようが、集団の要求に順応しない個人を圧迫しようが、有形無形のブラックリストは民主主義体制を揺さぶる危険な兆候だ。