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[オピニオン]贋作説に傾いた千鏡子の「美人図」

[オピニオン]贋作説に傾いた千鏡子の「美人図」

Posted November. 05, 2016 07:57,   

Updated November. 05, 2016 08:12

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レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたと知られているが、確定されていない作品の中に、「美しき姫君(La Bella Principessa)」がある。2010年、英オックスフォード大学美術史の名誉教授であるマーティン・ケンプは、この作品がダヴィンチのモノであることを考証する長い本を書き、ほぼダヴィンチのものと固まりつつあっていた。ところが、英国の贋作画家であるショーン・グリーン ハルが2015年、回顧録の中で、「美しき姫君」は1978年、自分が描いたのもので、そのモデルはスーパーマーケットレジ係の女性従業員だったと主張し、贋作議論に巻き込まれた。


◆ダヴィンチがお墓から蘇ってきて、「美しき姫君」を見たら、なんというだろうか知らない。しかし、千鏡子(チョン・ギョンジャ)は、国立現代美術館が所蔵していた美人図が1991年、初めて展示された時、本人自らが自分の作品ではないと主張した。しかし、美術館は鑑定手続きを経て、本物だと反ばくした。ところが1996年、検察で捜査を受けていた贋作画家であるクォン・チュンシク氏が、この美人図は自分の贋作だと自白し、再び長い贋作議論が起きた。


◆フランスの「リュミエール テクノロジー」は、ルーブル美術館に所蔵されたダヴィンチの絵画「モナリザ」を分析し、絵の下に隠されていた下絵を解明する凱歌を上げた会社だ。同社の創立者であるパスカル・コットは、「美しき姫君」について、1978年に描かれたものではなく、少なくとも250年は経っている作品だと主張し、本物主張の肩を持った。同社が千鏡子の美人図について、千鏡子の別の作品と比較して、本物である確率は0.0002%という結論を下した。事実上、贋作結論を出したのだ。


◆国立現代美術館のメンツは地に落ちる危機に置かれている。贋作が美術界を濁しているのは間違いないが、その一方で安易な作品収集や鑑定体系に緊張を吹き込むナマズ効果がないわけではない。1930年代に登場したサンドロ・ボッティチェッリの作品「ヴェールをかぶった女性の頭部」を美術界の権威者たちは、ボッティチェッリの本物の作品だと讃嘆したが、当時、20代の美術学徒で後で著名な美術史学者になったケネス・クラークは、「どこか1920年代の映画俳優のような雰囲気が漂っている」と贋作であることを見抜いた。そのような見まねが我々の美術界にも必要だ。


宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com