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[オピニオン]録音の時代

Posted July. 21, 2016 06:57,   

Updated July. 21, 2016 07:07

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高位公務員のA氏は、会議のたびにすべての内容を録音している。後で法的責任所在を解明しなければならない時に備えるためだ。言葉をころころ変える上司のために苦労している大手企業の社員であるB氏も、上司の言葉を録音している。大学病院の医師であるC氏は、患者らがひそかに録音していることを知ってからは、「録音は認めない」という言葉を書いてはおいたが、安心はできない。患者たちを安心させようと口にした言葉が録音されて、医療訴訟を起こされた事例があるからだ。

◆録音するのか、それともされるのか、大韓民国は「録音共和国」だ。「録音のない訴訟はない」という言葉が出てくるほどだ。速記者が思いがけない書き入れ時を迎えている。他人の会話を第3者が録音するのは違法だが、当事者が相手からの同意無しで録音すること自体は違法ではない。会話の内容を公開して、名誉を傷つけたり、脅迫したりするのは違法だ。韓国が録音に寛大なことに、多くの人たちが共感している。米国はほとんどの州で違法となっている。三星(サムスン)電子やLG電子は、国内スマートフォンのモデルには「通話中録音」機能を基本的に搭載しているが、北米や欧州向けの輸出製品には外している。

◆盗聴の時代は過ぎ去り、録音の時代が到来した。かつて、盗聴は情報機関の専有物だったが、今、録音は誰もができる日常的こととなった。電話をする時も、相手が録音機能を押しているかどうかが確認できないので、気になる。録音は、権力の醜い闇取引を告発し、弱者の「最後の手段」というプラスの機能もあるが、プライバシーを侵害する弊害まで正当化してはならない。

◆李完九(イ・ワング)元首相を辞任に追い込んだ京南(キョンナム)企業の成完鍾(ソン・ワンジョン)会長、代理店の店主に暴言をふるった南陽(ナムヤン)乳業の営業社員、事業パートナーはもとより、所属の芸能人と交わした言葉までを録音したイ・ギュテ・イルグァンコンヨン会長の録音記録で、社会が騒然となった。最近は、李貞鉉(イ・ジョンヒョン)元大統領広報首席秘書官、「民衆は犬や豚」と暴言を吐いた羅向栯(ナ・ヒャンウク)前教育部政策企画官に次いで、いよいよ、与党セヌリ党の崔炅煥(チェ・ギョンファン)や尹相現(ユン・サンヒョン)議員と玄伎煥(ヒョン・ギファン)元政務首席の暴言録音記録まで出てきた。その短い通話の中に、陰謀や術数、取引やインチキ、脅しや懐柔、権力を追う醜い貪欲の言葉がすべて盛り込まれている。

許文明(ホ・ムンミョン)論説委員 angelhuh@donga.com