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[社説]金海空港に戻った「慶尚道圏新空港」は合理的な決定だ

[社説]金海空港に戻った「慶尚道圏新空港」は合理的な決定だ

Posted June. 22, 2016 07:14,   

Updated June. 22, 2016 07:46

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フランスのパリ空港公団エンジニアリング(ADPi)と国土交通部が21日、今の金海(キムヘ)空港を拡張することが最適な代案だという結論を出した。慶尚道(キョンサンド)圏新空港建設に対する妥当性調査を行ったADPiは、「候補である2地域(密陽、加徳島)を比較するのではなく、完全に『ゼロ』から新たに始めた」とし、「加徳島(カドクト)、密陽(ミルヤン)を含む慶尚道圏35ヵ所の候補地に対して、航空安全や経済性、アクセス性、環境などを総合的に考慮した結果、金海空港の拡張という結果を出した」と明らかにした。このため、釜山(プサン)加徳島と慶尚南道(キョンサンナムド)密陽のうち1ヵ所に慶尚道圏新空港を建設するという計画は取り消しになったが、「金海空港リモデリング」を代案として提示したという点で、完全な白紙化とは言えない。

韓半島未来フォーラムの千英宇(チョン・ヨンウ)理事長は今月17日、東亜(トンア)日報に寄せたコラムで、金海の空軍基地を閑静な麗水(ヨス)空港に移し、金海空港を拡張するのが合理的なのに、常識と理性が入り込む余地がなかったと主張した。千氏の主張が正しいことが今回のADPiの調査結果で明らかになった。密陽が故郷で、釜山で大学に通った千氏は、李明博(イ・ミョンバク)大統領時代に大統領外交安保首席秘書官を務め、この問題を深く見る専門性を身に着けていると言える。

2013年に韓国空港公社が行った「金海空港滑走路容量増大案研究調査」でも、金海空港の拡張を有効な代案として提示したが、新空港支持者によって「新空港事業を白紙化しようとする政府の水増し戦略」と無視された。2011年の新空港立地評価でも、加徳島はアクセス性、密陽は安全性と環境問題などが指摘され、白紙化の理由になった。最も合理的な案を隣に置いて、この10年間、新空港建設問題で慶尚道圏を2分し、地域対立と分裂を招いて国力を浪費したことは残念だ。

これまで新空港問題をめぐって、釜山と大邱(テグ)―慶尚北道(キョンサンプクト)―慶尚南道―蔚山(ウルサン)の地方自治団体首長、政治家、経済人が過熱競争を繰り広げた。一部では、来年の大統領選を控え、与党の票田である慶尚道圏が分裂することを憂慮した政治的理由が作用した結果という見方も出ている。地方自治体によっては、今回の決定が多少残念でも、地域の利益よりも国家の未来と発展を優先するという大乗的な見地で受け入れ、地域住民を説得すべきだろう。

選挙で票を得るために大衆迎合的に国策事業を利用する政界の誤った慣行もなくならなければならない。行政首都、革新都市、先端医療複合団地、国際科学ビジネスベルト建設をめぐる論議で見たように、韓国はその後遺症を十分に経験してきた。一部の地方空港が航空需要がなくて唐辛子干しの用途に転落したことや、10年間引っ張って来た慶尚道圏新空港論議もまた然り。来年の大統領候補は、国策事業を選挙に利用しないという宣言からすべきだろう。



이진녕 イ・ジンニョン記者 jinnyong@donga.com