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[オピニオン]フィリピンの暴言王、「ダーティーハリー」大統領

[オピニオン]フィリピンの暴言王、「ダーティーハリー」大統領

Posted May. 11, 2016 07:30,   

Updated May. 11, 2016 08:05

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1989年、フィリピン南部ミンダナオ島のダバオ市。刑務所で起きた暴動事件の最中、豪州人女性宣教師が集団性的暴行を受け死亡した。当時の市長はその時を振り返った。「彼女(宣教師)の顔はあまりにもきれいで、私が先に(レイプ)すべきだったのに…」。直ちに豪州や米大使が抗議し、外交問題へと飛び火した。すると彼は、「口をつぐんでいるのがよいだろう」と言い、「私が大統領になれば、外交関係を断ち切る」と切り返した。ところが本当に大統領になった。

◆9日に大統領選挙で当選されたロドリゴ・ドゥテルテ(71)。22年間市長として在職し、「ダバオの処刑団」という自警団を組織して、1700人の犯罪容疑者を裁判なしに射殺した。最悪の犯罪都市はきれいになった。大統領選挙に立候補してからも、「大統領になれば、犯罪者の遺体を洗濯紐に干す」、「犯罪者10万人の遺体をマニラ湾に投げ込んで、魚のえさにする」という険しい言葉も次々と口にした。

◆「フィリピンのダーティーハリー」という異名も手にした。強力系刑事が犯罪者を容赦なく処断するクリント・イーストウッド主演の米映画「ダーティーハリー」から取ったものだ。人口の80%がカトリック信者である国で、昨年訪問したフランシスコ法王に「売春婦の息子」と暴言を浴びせかけても、「障害者は自殺を考えるべきだ」という険しい言葉を叫んでも、「犯罪の天国」フィリピンの国民は支持を辞めなかった。暴言を口にした大統領選挙候補は多かったが、大統領になったのは彼が初めてだ。

◆暴言政治家の元祖ともいえるフランスのジャンマリー・ル・ペン元国民戦線(FN)党首。「ナチスによるユダヤ人虐殺キャンプは、歴史では些細な出来事だ」などの数々の人種卑下発言を吐き出したのに、2002年、大統領選挙の決選投票にまで進んだ。ブラジルでは女性議員の体を押したことで「性暴行犯」と言われると、「お前は手を付けるほどの値打ちすらない女だ」という暴言を口にしたザイル・ボルソナル議員が2018年の大統領選挙候補に浮上した。政治家の暴言は、貧しさや治安不在の中で、既成政治への憤りで煮えたぎる有権者の情緒を有毒ガスのように食い込む、変種ポピュリズムといえる。暴言と言えば、漏れなく登場する韓国政界。米トランプのようなスターが誕生するのではないかと気になる。

朴済均(パク・ジェギュン)論説委員 phark@donga.com