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「クリーンディーゼル」の終末

Posted November. 10, 2018 08:49,   

Updated November. 10, 2018 08:49

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ドイツ系移民でフランス生まれのルドルフ・ディーゼル。社会主義者だった彼は、1890年代、小商工人も使えるエンジンの開発に乗り出した。当時使われた蒸気機関は、発生した熱の10%しかエネルギーに転換されず、大きくて高かった。ディーゼルは、軽油を利用してエネルギー転換率が25%を超えるディーゼルエンジンを開発した。軽油の英語の表現であるディーゼル燃料も彼の名前からつけられた。しかし、希望と違って軍用車両や潜水艦から装着され、韓国戦争では北朝鮮軍の先鋒に立ったロシア製戦車「T34」にも使われた。

◆臭いや騒音にもかかわらず燃費とパワーが良いという点に魅力を感じた欧州の人々は、1970年代からディーゼル車に乗った。ドイツの自動車会社は、ガソリンを使うガソリンエンジンよりも軽油を使うディーゼルエンジンの二酸化炭素排出量が20~30%ほど少ないことに目をつけ、2005年頃から「クリーンディーゼル」を前面に出した。フォルクスワーゲンの広告では、車が10万マイル走行するたびにエンジニアが天使になる。地球環境のために良いことをしているということだ。

◆「低炭素グリーン成長」を掲げた李明博(イ・ミョンバク)政府は、2009年にディーゼル車を環境にやさしい車に分類し、税制の恩恵を与えた。しかし、ディーゼル車から、エンジンの特性上、ガソリンエンジンでは出ない窒素酸化物が排出される。欧州の車は後処理装置でこの問題を解決したというが、2015年にフォルクスワーゲンの排気ガス操作の事実が明るみになり、クリーンディーゼルは「ダーティーディーゼル」に転落した。窒素酸化物は、国内のPM10、PM2.5の主犯とされる。環境部が8日に、10年間のクリーンディーゼル政策を廃棄し、ディーゼル車を退出させると宣言した背景だ。

◆欧州でもディーゼル車の退出が始まった。巨額を手にしたドイツの会社は大きな問題がない。しかし、現代(ヒョンデ)自動車は2015年にディーゼルモデルを出し、元を取ることもできずに撤収手続きに入った。国内の精油業界も後れてディーゼル精製施設を増やし、高値の時に手を出した。では電気自動車、水素自動車が環境にやさしい車の大勢になったのか。寿命が終わった電気自動車のバッテリーはどう処理するのか、水素を作るために必要な電気はどのように環境にやさしく生産するのかについては答えがない。

チョン・セジン論説委員


鄭世鎭 mint4a@donga.com