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[社説]ホワイトハウスから出てきた在韓米軍撤退論、韓国は「平和を守る力」があるのか

[社説]ホワイトハウスから出てきた在韓米軍撤退論、韓国は「平和を守る力」があるのか

Posted August. 19, 2017 09:05,   

Updated August. 19, 2017 09:08

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米国のスティーブ・バノン首席戦略官が16日(現地時間)、メディアとのインタビューで、「北朝鮮に対する軍事的解決策はない。忘れろ」と述べ、中国が北朝鮮の核開発を凍結させる見返りに、米国は在韓米軍を撤収するという交渉を考慮できると発言した。「そのようなディール(取引)ははるかに遠い」と付け加えたものの、ホワイトハウスで在韓米軍の撤収が議論されたことは異例だ。米メディアでは、韓米合同軍事演習の中止または縮小が対北交渉カードになり得るという報道もある。

北朝鮮の核・ミサイルの凍結に向けた在韓米軍の撤収や合同演習の中止の発言は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長が、「グアムへのミサイル発射」脅威から一歩後退した後、トランプ政権の対北基調が軍事的圧力から交渉による解決の方向に急速に移行して出てきた。むろん、トランプ政権はこのような主張に明らかに線を引いている。ジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長は、「韓米合同演習の中止は交渉の対象ではない」とし、ティラーソン国務長官とマティス国防長官も軍事的オプションは有効だと強調した。在韓米軍の駐留や韓米合同演習は単に韓国の防衛だけではなく米国の戦略的利益のためでもあるため、簡単に撤収したり中止できないのも事実だ。

しかし、このような米国の動きを軽く見ることはできない。バノン氏は、トランプ大統領の右腕と呼ばれる最側近の戦略官だ。トランプ大統領の内心をそれとなく表したのではないかという見方が出ているのもこのためだ。これに先立ち、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官は、「北朝鮮の崩壊後の在韓米軍の撤収」を中国との交渉カードにすることを助言した。バノン氏は、さらに一歩出て在韓米軍の撤収を北朝鮮の核凍結を引き出すためのカードに考えた。遠い未来の可能性だけでないということだ。韓米合同演習の中止・縮小は、米朝対話の局面へ進む過程で近い将来に現実になる可能性も排除できない。

在韓米軍の撤収・縮小論は、歴史的に米国が韓国の独裁政権に対する圧力用または世界的な米軍戦略の変更にともなう韓国との交渉用のカードだった。トランプ大統領が、大統領選挙の時に言及した在韓米軍撤退も、韓国の駐留経費負担の増額を狙ったものだった。しかし今回は、北朝鮮や中国との取引として出てきた。米国は直ちに自国の領土を脅かす大陸間弾道ミサイル(ICBM)という足下の火から消さなければならない状況だ。在韓米軍が撤収すれば、百万の大軍を誇る北朝鮮の通常戦力はもとより核・ミサイルに対して韓国単独で防衛しなければならない。有事の際、戦略資産を投じて韓国を守るという米国の約束も空念仏になる可能性が高い。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は18日、金大中(キム・デジュン)元大統領の追悼式で、「平和を守る安保を越えて平和を作る安保を成し遂げる」と平和論を繰り返し力説した。しかし、果たして私たちは平和を守る準備ができているのかから自問しなければならない。平和は力があってこそ守ることができる。「自強」、すなわち自主国防は一日では果たせない。同盟の離脱の可能性に傍観していてはいけない理由だ。



イ・チョルヒ記者 klimt@donga.com