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小説集『告発』出版のト・ヒユン氏、「北朝鮮の人権を告発したこの本がノーベル賞候補になれば…」

小説集『告発』出版のト・ヒユン氏、「北朝鮮の人権を告発したこの本がノーベル賞候補になれば…」

Posted February. 15, 2017 08:23,   

Updated February. 15, 2017 08:24

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「暗くて混乱した社会像の中で創作された文学作品が、ノーベル文学賞を受賞した事例は少なくなかった。北朝鮮人権問題の実態を生々しく伝えるこの本が、ノーベル賞候補に上がれば、北朝鮮社会が明るい未来を迎える機会を、国際社会が提供するきっかけになるだろう」。

14日午後、ソウル麻浦区(マポグ)のとある喫茶店で行われた小説集「告発」(タサン書店)の改訂版出版記念メディア向け懇談会に出席したト・ヒユン「幸せな統一に」代表の言葉だ。約20年間、脱北者の身辺保護関連仕事を手がけてきたト代表は、3年前、北朝鮮に居住している作家「パンディ(ホタルという意)」(仮名)が書いたと言われているこの小説の原稿を、とある脱北者から入手して趙甲済(チョ・ガプジェ)ドットコムから出版した。今回の改訂版は、最近、英米版や海外出版を迎え、出版社を移して新たに出したもの。ト代表は、「前回の本はサブタイトルがつくなど、説明が多くて、かえって理解しづらかった面があった。今回は簡潔に、元の原稿内容をうまく伝えるように整理されている」と語った。

「作家の身辺保護のため、もしもの情報になりうる地名や人名を変えたこと以外は、すべての表現を原稿通りに載せた。北朝鮮地域の方言が蘇り、その社会の現実がより一層生き生きと迫ってくる。『北朝鮮文学』の実体に一歩近づいたわけだ」

北朝鮮体制への批判や風刺を込めた短編小説7本をまとめた「告発」を書いたパンデイは、北朝鮮の朝鮮作家同盟中央委員会所属の作家だという。氏が書いた詩をまとめた新しい本も、まもなく出版される予定だ。「観光地の近くに住んでいる、KBSラジオ放送をよく聞く、名前を言えば北朝鮮では誰もが知る50代の現役男性作家との情報はどこまで信頼できるのか」という質問に、ト代表は、「何が事実で、何が身辺保護のための作りかは、今は明らかにできない」と答えた。

「字体も、翻訳者など限られた範囲内で確認した。北朝鮮は字体だけでライターを見つけることのできる社会だ。北朝鮮の反体制知識人がすべて脱北を試みるわけではない。パンディは、北朝鮮社会に留まって危険まで冒して変化を成し遂げようと努力する人物だ。状況が変わって、氏が、北朝鮮から出てくる可能性も確かにある。その時、初めて彼の存在が真実だったことが明らかになるだろう」



孫宅均 sohn@donga.com