会社員のカン・ヒョクス氏(30)は最近、普段利用していたインターネットコミュニティを、お気に入りリストから削除した。芸能人の写真に書き込まれた性的不快感を感じさせるコメントと、容姿を巡るあからさまな品定めのためだった。10歳の子役俳優の写真に付いた「セクハラコメント」を見てからはまったくコミュニティに入らない。カン氏は、「仮想空間とはいえ、行き過ぎの言葉のセクハラが幅を利かせている」とし、「犯罪なのに、これが関心の種となっている気がして不快だ」と語った。
インターネットコミュニティやソーシャルネットワークサービス(SNS)で性的不快感を与えたり、ひわいな言葉や容姿についての性的比喩・評価を盛り込んだ投稿、コメントを吐き出したりする「キーボードセクハラ」が寛容のレベルを超えている。さらには、12歳未満の子役俳優の写真に性的不快感を呼び起こすコメントも無批判に書き込まれているのが現状だ。インターネットコミュニティやSNSは年齢制限なく使用できるので、子供たちも何の罪悪感なしにキーボードセクハラにさらされている。
警察庁の統計によると、違法なコンテンツ犯罪のうちサイバーポルノは、2014年は3739件、2015年は3475件で、犯罪件数全体の約20%にのぼる。最近、芸能界は度を過ぎたキーボードセクハラに積極的に対応する傾向にある。先月、歌手「アイユー」(写真)に対して、キーボードセクハラを行った11人の被疑者に対して、罰金刑が確定した
特に、インターネット上でセクハラ的発言をしても、「直接話したり、触れたりしたことではないから問題にならない」という認識が広がっており、「キーボードセクハラ」を犯罪とは思わないという問題も大きい。
東国(トングク)大学警察司法学部の李潤鎬(イ・ユンホ)教授は、「オンライン上で、セクハラ的発言を吐き出す犯罪を、性的好奇心に自己誇示欲を加えた『遊びだ』と思う人たちが、徐々にセクハラの度合いを高めていく」とし、「直接的な性暴行をしたわけでもないので、セクハラは大した問題ではない」という韓国社会の過度に保守的な認識も、このような現象の原因だ」と語った。
李知訓 easyhoon@donga.com