元韓国人の若い男性が挙げた条件は、フランクフルト空港から近いことと、ビブリス地域と隣接する地域であることの2つだった。ビブリスは、崔被告の娘チョン・ユラ容疑者の乗馬訓練場であるイエーガーホフ乗馬場がある場所だ。ホテル購入の意思を示した男性は、「ビブリスに馬を支援する関係者らが働いているが、彼らが行き来するのに便利なところがいい」と言い、「このホテルは営業用ではなく、仕事をする人たち、スポーツ関係者らが滞在するところになるだろう」と話したという。
その後、不動産仲介業者は、男性に空港周辺にあるフローシャイム地域のとあるペンションを紹介した。ペンションではあるが、すぐ隣にある所有者の家と合わせてやや改造すれば十分な部屋数が確保できる上、住宅街にあるので、閑散としていて静かな街だった。ペンションの価格は10億ウォンほどだという。
男性は昨年9月頃、不動産仲介業者に「うちの会長が直接見にいくだろう」と再び連絡してきた。フローシャイム地域のペンションを見に来た会長は、ほかならぬ崔順実被告だった。崔被告の傍には「専務」と呼ばれる50代の男性がいて、若い男性4、5人も一緒だった。
崔被告が2015年11月に6億8000万ウォンを払って購入したビデックタウヌスホテルのほか、別のホテルを探していたのは、タウヌスホテルが場所柄不便だったためとみられる。タウヌスホテルのあるシュミッテンは、フランクフルトの北側にある。フランクフルトの南側にあるイエーガーホフの乗馬場までは、車で1時間40分は優にかかる。韓国に頻繁に行き来する崔被告にとっては、空港から車で45分はかかる距離も負担となったものとみられる。実際、崔被告はドイツに行けば、タウヌスホテルの代わりにフランクフルト郊外のセレブ町と言われているバートホンブルク地域の4つ星ホテルで常に滞在した。フローシャイム地域は、空港までは15分、イエーガーホフの乗馬場までは45分で行ける。しかし、崔被告がこのホテルを調べた直後に、今回のスキャンダルが明らかになったので、それ以上の連絡はなかったという。
董正民 ditto@donga.com