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歯に高周波を照射、放射線の被ばく量を簡単に測定

歯に高周波を照射、放射線の被ばく量を簡単に測定

Posted March. 08, 2019 08:15,   

Updated March. 08, 2019 08:15

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地下の長い階段を過ぎると、実験室が現れた。「X線照射中」という印の下に、放射線マークが鮮明だった。机の上には、大人の親指サイズの青い樹脂が23個並んでいた。樹脂に小さなイヤリングサイズの白い物が一つずつ刺さっていた。人の歯だった。

6日午後、京畿水原市光教(キョンギ・スウォンシ・クァンギョ)テクノバレー内のソウル大学融合科学技術大学院。不思議な表情に気づいたのか、ソウル大学融合科学技術大学院のパク・ジョンイン研究員は、「患者から抜いた歯を、歯科の協力の下、もらったのだ」と説明した。横に立っていたチェ・グォン研究員は、「機関生命倫理委員会(IRB)の承認も得た」とし、「このような歯が1000個ぐらいある」と付け加えた。1000個だなんて、不気味な気がした。

この歯は、放射線の被ばく量を測定する技術を開発するために使われる。2011年の東日本大震災で福島原発事故が起きたとき、日本政府が必死になって探していた技術だ。住民の放射線被ばく量を迅速かつ正確に測定しなければならないのに、血を抜いて、血液細胞のDNA変異を見つける従来の技術は非常に遅く、苦痛が激しかった。被ばく量は、住民を無菌施設のある病院に送って、緊急診療をするかどうかを決める上で、重要な根拠となる。抗がん放射線治療時に、1日にさらされる被ばく量(約1.8グレイ)以上の強い被ばくは、人の免疫力を落とし、ひどい場合は命まで奪う。

当時、日本はハロルド・シュワルツ米ダートマス大学教授チームが開発した技術を使った。人間が放射線にさらされれば、体のあちこちに痕跡を残す。歯も同じだ。最も外側の層である「エナメル」が形成されるときは、炭酸イオンが一部、不純物のよう混ざる。ここに放射線が通れば、原子と結合していない自由電子が結合して、他の原子と結合していない余分の電子を持ったミネラルの形でエナメルに残る。この痕跡は人が死んでも変わらず、そのまま残る。シュワルツ教授チームは2011年、ここに磁場をかけて、特定周波数の高周波信号を流せば、磁場のエネルギーが吸収されることを発見した。吸収されたエネルギーは、累積された被ばく量と比例した。研究チームは、このエネルギーを測定して、被ばく量を計る技術を開発した。

ソウル大学融合科学技術大学院のイェ・ソンジュン教授とパク・ジョンイン、チェ・グォン研究員は、世界で二番目にこの技術を独自開発した。既存の技術は、歯を抜いたり一部をはがした後、粉にして測定する必要があったので、患者の苦痛が激しかった。しかし、研究チームが開発した技術は、歯を5分間機器に当てるだけで、正確な被ばく量を測定できる。研究チームは、歯科でもらった実際の歯に放射線を照射し、繰り返して確認した。病院と実際の患者を対象に検証まで行った。現在、この技術では、コンピュータ断層撮影(CT)やX線など、日常的な放射線被ばくは確認できない。放射性物質の漏出など、より被ばく量の大きい緊急事態に備えて作ったからだ。しかし、感度を上げれば、弱い生活放射能を探知することにも活用できる。イェ教授は、「機器を小型化して、日常でも簡単に活用する機器に改良する計画だ」と語った。


ユン・シンヨン東亜サイエンス記者 ashilla@donga.com