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不運にめげず成功した「スーパーマン」たちの秘密

不運にめげず成功した「スーパーマン」たちの秘密

Posted January. 19, 2019 09:13,   

Updated January. 19, 2019 09:13

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少しの間、目を閉じてみよう。

誰でも一生に一度は超人を夢見たことがあるのではないか。マントをつけて空を飛んだり、覆面をかぶってビルにのぼる。むろん、必ずしもスーパーヒーローである必要はない。何か突出した能力を持ちたいという気持ちを皆が抱いてみる。年を一歳取るほど幻想は遠ざかる。平凡で満足せず、他人よりも後れを取っていないか、意味なく気になる。

しかし、「スーパーノーマル」は、そんなことは気にするなと肩を軽く叩いてくれるような気がする。実は、本自体はヒーリングを与えるという目的はない。むしろ過去に、主に子どもの頃に様々な傷を負った人々がどのように挫折したり屈服せずに堂々と生きて来たかに注目した本だ。換言すれば、「Super Normal」は苦難を克服した品性を持つ人たちについての紹介だ。

米バージニア大教育学部の教授である著者は、現地でも有名な臨床心理学者だ。20年以上、多くの人々をカウンセリングし、「逆境を機会に変えた」人々の人生に関心を持ってきた。例えば、幼い頃、家庭不和などを経験した人々は、行動障害や学習障害などを経験する可能性が高い。精神疾患ではなくても問題児になることが多い。しかし反対に、「不運な出発にもかかわらず『有能で自信があり、思いやりのある』大人」に成長したケースも少なくない。同じような困難を経験したにもかかわらず、これを勝ち抜く力。著者はこのスーパーノーマルの「回復弾力性」に注目した。

このような回復弾力性がどのように発現するかは、人間の脳が持つ「闘争-逃避反応」に注目する必要がある。闘争反応という言葉通り、立ち向かって戦うことだ。海軍将校に立派に成長したポールという人物は、子どもの頃、深刻ないじめを受けた。辛かったが彼は怒りを栄養にし、「自分の人生を守り、直面した環境を改善させる意志」を貫徹させた。よく怒りは否定的な感情と見られるが、障害を克服する肯定的な役割をしたりもする。

逃避反応も相当な効果を発揮する。もし子どもが家庭暴力に苦しむなら、これに対抗することは実に難しい。このような場合、外的に順応するふりをし、現実と「距離を置くこと」を通じて心の傷を最小化する。一言でいって、闘争反応が「問題中心対処」なら、逃避反応は「感情中心対処」でストレスを調節することだ。こうしたことが何の意味があるのかと思うかも知れないが、これを通じて困難を耐えたケースは意外に多い。

「スーパーノーマル」はここからさらに一歩進む。逆境を勝ち抜いた人々の勝戦だけを伝えない。このように苦労して良い大人に成長したが、彼らの心の中には依然として痛みと苦痛が残っているという点を忘れない。漫画や映画の中のスーパーヒーローもそうではないか。表向きは華やかで人をうらやむことはないが、実は人間的な煩悩まで捨て去ることはできない。「スーパー」といっても「ノーマル」な人間だからだ。科学書籍だが、人間に対する愛情が染み込んでいる点はこの本が持つ最大の美徳だ。


丁陽煥 ray@donga.com