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親たちのPM10恐怖症

Posted January. 17, 2019 08:53,   

Updated January. 17, 2019 08:53

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会社員のイ・ジウンさん(仮名・30)は最近、米国にいる友人に連絡し、ヘッドハンターにつないでほしいと頼んだ。仕事を見つけしだい移民するためだ。韓国で高年俸の安定した大企業に勤めるイさんが移民を決心したのは、ほかでもない「PM10」のためだ。米国で大学に通ったイさんは、卒業後に韓国に戻り、あまり経たずに「脂漏性皮膚炎」にかかった。子どもの頃からアトピーを患い、米国で生活して6ヵ月で治った皮膚疾患が再びあらわれた。PM10濃度が高い日は、かゆみがひどく外出もできなかった。イさんは、「まだ米国で家も見つかっていないが、民泊に数か月住むことになっても、韓国を離れなければならない」と話した。

PM10が韓半島を覆う日が頻繁になり、健康に対する憂慮の声が高まっている。皮膚や気管支疾病を患う人々は快適な環境を求めて韓国を離れなければならないとまで考えている。首都圏にPM10非常低減措置が発令された13~15日の3日間、移民情報を提供する会員数約9万人のネイバーカフェ「米準会(米国旅行、留学、就職、移民、永住権、市民権を準備する人々の会)」には、「PM10のために移民したい」という内容のコメントが100件余り投稿された。ビッグデーター分析会社ダウムソフトが2013~17年、ブログやコミュニティなどに掲示されたコメント、約1億2700万件を分析した結果、「PM10」と「移民」が結びついたコメントは15年の125件から17年には1418件に10倍以上増えた。

子どもがいる親はPM10が深刻になる時期に合わせて子どもと「逃避性旅行」までしている。PM10が脳疾患や呼吸器疾患、皮膚疾患などの原因に見られてからだ。1ヵ月間外国で生活するための情報を共有するネイバーカフェ「1年に1都市1ヵ月生活」には、「休みなのにPM10のために外に出られず、家にだけいる子どもが可哀そうで、カナダで1ヵ月生活するために飛行機のチケットを急いで予約した」、「PM10の影響で子どものアレルギーがひどく、ビザが簡単に出るマレーシアで1ヵ月間暮らそうと思う」などのコメントが投稿された。3歳の息子を育てる主婦のキムさん(33)は、「喘息とアトピーを患う息子の症状がひどくなり、オーストラリアへの移民を調べてみたが、10億ウォンを超える費用がかかるというので手が出ない」とし、「来年からはPM10がひどい期間だけでも韓国を離れようと思う」と話した。

年々PM10が深刻化し、専門家たちは環境が移住の要因の一つになると見通した。国際移住機構(IOM)移民政策研究院のチョ・ヨンヒ教育協力企画官は、「アトピーや喘息など子どもの病気の問題で首都圏を離れて空気がきれいな田舎に住居地を移す『国内移住』はすでに数年前から現れている」とし、「自然災害、気候変動など環境的要因が移住の原因になっているため、今後PM10も人々の住居地決定の重要な基準になるだろう」と説明した。


金哉希 jetti@donga.com